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 会計など業務パッケージ・ソフトを展開するピー・シー・エー(PCA)がSaaS事業を加速させている。料金体系や販売体制の見直しなどで、一気にSaaSユーザーを増やす考えだ。水谷学社長は「ゴールを8万社」とし、まず2010年度末までに1万社の獲得を目指す。これが実現すれば、50億円超の売り上げ規模になる。

 PCAがSaaS市場に参入したのは2008年5月である。パッケージ・ソフトのライセンス販売に依存したビジネスモデルでは今後、大きな成長を見込めないとの判断からだ。直近の業績を見ると、2期連続(2006年度、2007年度)の減収減益で、2008年度は増収減益(売上高が8.4%増の68億円、営業利益は2.4%減の12億9400万円)を予想している。水谷氏は「売り上げの3分の1は保守なので、もし売り上げが2~3年減ったとしても次の基盤を作れる体力はある」とし、パッケージ・ベンダーからサービス・ベンダーへの変身を推し進めるという。

 SaaSへのシフトを推進する第一弾の取り組みが,2009年1月に発表した料金体系の改定だ。水谷氏は「ユーザーが求めるのは一時金なしの月額料金である,ということが分かってきた」とし、初期費用をゼロにする「イニシャルコスト”0”プラン」をスタートさせた。

 例えば会計のサービスを3拠点で5年間利用する場合、これまで必要だった82万円の初期費用をゼロにし、月額料金を3万円(3ユーザーの場合)とした。ある有力パッケージ・ベンダーのSaaSと比べると3分の1の水準だという。従来の月額料金より6000円高くなるものの、5年間利用した場合の総コストは226万円から180万円に下がる。

販売会社も重い腰を上げる

 同社の会計ソフトを扱う販売会社も,SaaSを販売する方向に動き始めている。既存商品の販売店約1400社のうち約200社がすでにSaaSの販売契約を結んだほか、最大の販売店であるリコーも協力する姿勢を見せているという。

 SaaSに対してはこれまで「例え一時的であっても、ソフト販売といった既存ビジネスの売り上げが減るし,サーバー・ビジネスの障害にもなる」として、様子見を決め込む販売会社が多かった。それが変わりつつある。折からの不況でリースが通らない案件や、IT投資を手控えるユーザーが増えてきた。その一方で、ユーザーは不況下を生き抜くための新しい提案、業務効率化やコスト削減策の提案を求めている。こうしたことが、販売会社にSaaS販売を決断させたようだ。

 PCAは2009年4月から,データセンターに設置するサーバー台数を増やし,ユーザー増に対応できるようにする計画だ。実は2008年5月にサービスを開始した段階では、ユーザー数を約160社に限定していた。これまでの「慣らし運転」で、サーバーにかかる負荷や,利用のピーク時間帯などの実態を把握、今後どう拡張すればよいのかがわかってきた。仮想化技術の活用や運用のノウハウも蓄積できたとしている。

 こうした経験を元にサービスを設計した。例えば、PCAのサービスは365日運用ではあるが、夜12時から朝7時はサービスを停止することにし,この時間帯に、OSなどのアップデートや税制改正などへの対応作業を実施する。「万全な体制にするための措置だ。9割のユーザーがそれでOKと言ってくれた」(水谷氏)。

 「サービス会社に脱皮できなければ、雲(クラウド)の上にいけない。雲の下は土砂降りだが、上は快晴」と水谷氏。今後5年でPCAをサービス会社に変身させたいそうだ。