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 「自由闊達な企業文化を醸成することが最も重要。元気な社員がいてこそ、価値ある提案ができる」。

 2009年1月1日に日本IBM社長に就任したばかりの橋本孝之氏はこう語る。トップと現場の距離を縮め、組織を活性化させる取り組みに力を注ぐという橋本氏は,就任早々全役員を集め、担当部門をどう活性させるかについて実践目標を出させ、その達成度により評価するとした。

 日本IBMの2008年度決算は減収増益(売上高は1.5%減の1兆1757億円、営業利益は1.5%増の1680億円)だった。2008年末に1000人以上の社員が同社を去った一方で、オフィスには外国人管理職が増えているという。そうした中、橋本氏は社員、さらには顧客企業、パートナー企業との話し合いに多くの時間を割いてきた。

 橋本氏は就任後、まず2009年を「次世代への礎を築く年」と位置づけた。その上で、その実現に欠かせない要素として「自由闊達な企業文化」「顧客への価値創造をリード」「新規ビジネス拡大とパートナーシップ強化」の3つを重要項目に掲げた。

 自由闊達と言えば、現最高顧問の北城恪太郎氏だ。93年に社長に就任した北城氏は日本IBM会社が目指す姿として、「自由闊達」と「顧客志向」、「業界変革のリード」の3つを挙げた。橋本氏の考えはそれに近いように思える。どちらも厳しい経営環境の中で就任したというのが共通点だ。

 橋本氏は「顧客企業が(今の不況という)トンネルを抜けた後を支援する」と宣言した。そのために「2週間で方針を決め、12週間でシステムを導入する」という仕組みも用意した。システム導入以前に、早く効果を出すにはどのプロセスから取り組むべきか、といった戦略面の提案もする。提案領域はまず、コンタクト・センターなどの統廃合、ITコスト削減、海外拠点の再配置、M&A(合併・買収)などの6分野に絞り込むという。

 2009年2月に発表した「Smarter Planet」は、数年後に登場する技術を予測し、その活用法を提案するというもの。橋本氏が掲げる3項目のうち「顧客への価値創造をリード」を実現するものと言えるが、これが実にIBMらしい“大風呂敷”ビジョンである。

 橋本氏は「世の中には様々な非効率があるが、Smarter Planetはその解決に有効な手立てだ」とする。例えば日本の道路渋滞はその最たるもので、「年間に38億時間、12兆円が道路渋滞によって失われている」(橋本氏)という。地域の医療システムが連携していないことによる非効率や、世界中で多くの人が飢えている中で日本では食料の21%を廃棄している、といった無駄もSmarter Planetのターゲットである。