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オープンソースへの参加は難しくない(1)「使う」こと

 いつもは「上位レイヤ」の話ばかりしているので,久しぶりということもあってもうちょっと身近なところから話を始めたいと思います。とは言え,だんだんに上のレイヤに話が移るわけですが。

 実は「参加」について書くのは,これが2回目です(前回は『「オープンソースへの貢献」って?』)。その他にも,何度か触れている話題でもあります。それだけ「参加」することはFLOSSにとって大きなテーマです。と共に,なかなかわかりにくく,誤解されていることでもあります。今回はこの話題をFLOSSへのかかわりの深さから考えてみたいと思います。

「参加」の第一ステップ

 「参加」の第一のステップは「利用」することです。そもそも,使っていなければかかわりはありませんから,一番最初の主体的なかかわり方は「使う」ことになりますね。コミュニティによっては,使ってもない人が大きな顔をしてることがありますが,それはどう考えても間違っています。どのような形であれ,まずは使うことが「参加」への第一ステップです。

 もちろん,単に使うだけでは,前回に書いたようないかにも「貢献しました」という達成感はありませんが,「貢献」としては「誰でもできる」「すぐできる」ものです。「単に使うだけで何が貢献なんだ」ということは,少し理解しにくいと思いますが,作者の立場になってみると,いくらか分かるのではないかと思います。

 まず,第一に使われているという事実は,お世辞抜きに「使える」ということの証明になるということです。これはそのソフトウエアをどのような意図でFLOSSにしたかは関係なく(これについては次回),そのソフトウエアが作者の手元以外の場所で実用になったということですから,少なくともFLOSSの第一歩を踏み出したということがわかります。この「第一歩」がわからないと,作者はFLOSSにして良かったのかどうなのかすらわかりません。ある程度FLOSSを公開することに慣れている人であれば,そういったことをまったく気にしないで「息をするように」公開できるのでしょうが,そこに至るまでにはやはりこの「第一歩」をたくさん経験する必要があります。そのためにも「誰かが使っている」という情報は,作者のモチベーションにもつながります。

 第二に,そのソフトウエアにとっての「実績」になるということです。これは商業的なパッケージにかかわった人なら気持ちが分かると思います。パッケージの営業に行けば,必ずと言ってよいほど「実績はありますか?」と聞かれます。この時にどこで使われているということを示すことができれば,その営業先でも検討してもらえるでしょう。日本人は特に実績とか前例とかを気にしますから,機関や企業で使われているという事実の有無は,採用にあたっての大きなポイントとなります。このことが良いか悪いかは別にして,ソフトウエアはどこかで使われてこそ,「実績」があるということであり,それだけ信用されているということになるというのは分かると思います。自分が使う立場であっても,同じような機能のソフトが複数あって,どれを選んでも大差なさそうであれば,「使っている人が多そうなソフト」を選ぶというのは,それほど不思議な行動ではないと思います。それだけ「実績」には意味があります。

 第三に,ユーザーがあるということが,エコシステム形成の礎であるということです。「エコシステムについては以前「オープンソースを使うことはうしろめたい?」で詳しく書いていますが,一言で言えば「いわゆるオープンソースの好循環」です。これが形成されるためにはある程度のユーザー数が必要になります。エコシステムがどれくらいのユーザー数で形成されるかはケースバイケースですが,ユーザー数が多いほど形成されやすくなりますし,形成されて後も発展しやすくなります。

 とりあえずということで,3つ理由を挙げておきましたが,「使うだけでも十分貢献であり参加である」という理由はもっと挙げられると思います。「ソフトウエアは使われてなんぼ」ですから,FLOSSも同じわけです。

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