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 「発熱の少なさが省電力のメリットである」---。こう書くと,「何を当たり前のことを真顔で言っているのか」,と思われるかもしれない。電力が騒音や熱へと変わり,その熱を冷却するために,さらに電力を消費する。だからこそIT機器は,消費電力を減らすことに躍起になっている。発熱が減ることで集積度を高めることも可能になり,データセンターの設置体積(不動産コスト)も減る。IT業界の常識である。

 記者も,このところIT機器の発熱が気になっている。だが実のところ,記者がIT機器の発熱を気にするようになったのは,電気料金を下げるためでもなければ,CO2(二酸化炭素)を削減するためでもない。このように書くと,「だとしたら,いったい何が理由なのだ?」と疑問に感じる方もいるのではないだろうか。

 記者も,これまでは単純に「発熱=冷却コスト」の意味でとらえていた。あらゆるデメリットは,金銭へと単純に変換して考えればよいと思っていた。また,その金額も,単純に計算できると考えていた。だが,今の記者は,IT機器の発熱の最大のデメリットが何かを知っている。それは「存在の耐えられない熱さ」である。暑い夏に,熱いIT機器がうっとうしいのだ。熱さという“気分”を金額に換算するのは難しい。こういうことは,カタログのスペックをいくら見ても見えてこない。

 このようにIT機器の熱さに自覚的になった背景には,最近になって買った2台のノート型パソコンの存在がある。最初に買った1台はCPUにCeleronを搭載しており,続けて買った1台はAtomを搭載していた。この2台を使ってみて分かったことは,「パソコンによって,熱さ(発熱)が全然違う」という事実である。正直な感想として,最初の1台(Celeron機)は熱過ぎて使うに耐えない。

 もちろん,熱伝導性や断熱性を考慮して,材質やエアフローなど機構上の工夫を施すことで,同じ発熱でも熱を上手に外部に逃がすことはできる。少なくともキーボードやパームレストに過剰な熱を伝えないようにはできるだろう。だが,その前に発熱そのものを回避すること,つまりCPUやチップセットなどの電力消費を下げることが先決なのではないだろうか。

 今回は,ノート型パソコンの購入によって,「熱さ」という新たな「気付き」を得た。そして,実はデスクトップ機にも「熱さ」に引けを取らない重要な視点がある。それは「空調ファンによる騒音」である。もちろん,大きなファンを低速で回転させることで騒音は減るし,空気以外の冷媒を使って熱を効率よく集めれば騒音を減らすことができる。だが,そもそも発熱を低く抑えることができれば,それに越したことはないのだ。