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 普通の携帯電話からiPhone 3GSへ機種変更して約2カ月がたった。初めのうちは一本指でポツポツ入力していたメールも,今では片手で打てるまでに使い慣れた。使い慣れると一層,iPhoneの便利さを感じる。

 とにかくインターネットの使い勝手がとても良いのだ。前機種のiPhone 3Gや他のスマートフォンを使っていないので比較はできないが,iPhone 3GSの速度は快適である。ニュース・サイトやブログといったパソコン用Webページの検索や閲覧,動画視聴などがストレスなく行える。

 たとえば取材で企業を訪問する際に,会社ホームページのアクセス・マップをきれいに表示するので道に迷うことが減った。また,会社が発表したニュース・リリースや発表資料のPDFを閲覧できるので,急な取材や記者会見の予定が入ったとき,事前準備ができて便利だ。さらに,以前から会社メールをWebメール(Yahoo!メール)に転送して自宅や外出先からチェックしていたが,携帯端末用のWebメールは返信やメールの検索に難があった。iPhoneではフルブラウザのWebメールが使いこなせる。

 iPhoneが便利なのは,仕事の用途だけではない。筆者は食料品や日用品の買い出しにネット・スーパーを利用しているが,帰宅中の電車で注文が済んでしまう。これまでパソコンでしていたことが携帯電話で快適にできるようになったので,外出先だけでなく,家でもiPhoneでWebを見るようになった。夜,パソコンを使うことなく就寝する日が増えた気がする。

前の端末の割賦金の元は取れた

 実は,iPhoneに惹かれながらも,購入に踏み切るまでに結構な期間悩んでいた。もともとソフトバンク・ユーザーなので,iPhoneへの移行は通常の機種変更と同じ手続きで済む。ソフトバンクの長期契約特典も継続するし,携帯メール・アドレスもそのまま使える。

 それでも購入をためらっていた理由は,世知辛い話で恐縮だがお金の問題である。24回分割払いで購入した端末の割賦金が残っていたからだ。

 iPhoneの前に使っていた端末は,ソフトバンクの「新スーパーボーナス」という割引サービスを利用して購入したため,割賦金の全額が毎月の通信料金から差し引かれていた。しかし,割賦金をすべて支払い終える前に機種変更や買い増しをすると,残りの割賦支払い分は全額自己負担になる。iPhoneを我慢して今の機種を使い続ければソフトバンクが負担してくれる金額だと思うと,惜しい気がした。

 そんな葛藤を見透かしたかのように,6月に新機種iPhone 3GSが発売された。筆者の倹約心は,このときにiPhone欲に打ち負けた。発売当日に,前の端末の割賦金とiPhoneの割賦金を併せて支払う契約をして,iPhone 3GSを購入してしまった。

 それから2カ月。毎月の出費は増えたが,余計に負担することになった前の端末の割賦金の元が取れるくらいには,時間を節約できている気がする。

一般の携帯電話で利用できるサービスが使えない

 iPhoneを選んで良かったと思う一方で,少しだけ“いじわる”と感じることもある。正確には,iPhoneに対してというより,ソフトバンクに対してである。

 筆者はiPhoneユーザーになる前には,「Yahoo!オークション」の入札を携帯電話で行っていた。パソコンの方が便利なのにあえてそうしていたのは,「またケチなことを」と言われそうだが,そのほうが安いからだ。

 ソフトバンク・ユーザーは携帯電話からの利用に限り,月額346円の会員登録をしなくても,Yahoo!オークションで5000円以上の入札ができる。筆者は,年に1~2回くらいの頻度でしかネット・オークションを利用しない。346円といえども毎月固定費として支払うのには抵抗があった。

 ところが,iPhoneでは「Yahoo!オークション」の無料特典が利用できない。この事実に気付いたのは,つい先日のことだ。あるバンドのライブ・チケットの抽選に外れてしまい,チケットを求めて急ぎYahoo!オークションにアクセスして,いざ入札する段になって初めて知った。

 無料特典を受けられるのは,ソフトバンクモバイルのポータル・サイト「Yahoo!ケータイ」から「モバイル版Yahoo!オークション」を利用した場合である。ソフトバンクが開発にかかわっていないiPhoneは,「Yahoo!ケータイ」にアクセスする仕様になっていない。

 しかし,iPhoneユーザーだってソフトバンクに通信料を納めているソフトバンク契約者だ。ヤフーが提供するサービスをお得に利用したい。「Yahoo!ケータイ」に接続できなくても,ヤフーのサービス利用時にiPhoneユーザーを認識するのは技術的に不可能ではないはずだ。iPhoneをソフトバンク・ショップでアクティベーションする際に,iPhoneで使うYahoo!IDを登録しておくこともできるだろう。

従来とビジネスモデルが異なる

 iPhoneは,これまでキャリア主導でメーカーが端末を開発していた日本の携帯電話業界において,メーカーである米アップルが主導して開発したという点が新しい。この辺りは,ITジャーナリストの林信行氏が「iPhoneショック2」で詳しく解説しているので,そちらをお読みいただきたい。

 iPhoneは同時にモバイル・コンテンツのビジネス・モデルも大きく変えたと言われる。これまでキャリアは,「Yahoo!ケータイ」のような公式サイトを通じてモバイル・コンテンツやサービスを提供し,その料金を通信料金と一緒に回収。その一部を回収手数料としてキャリアの収入にしていた。筆者は,今まで特に意識することなくソフトバンクの携帯電話からソフトバンクの公式サイトを利用し,コンテンツ利用料の一部を納めるのと引き換えに,ソフトバンク・グループのヤフーが提供するサービスで特典を受けていたわけだ。

 しかし,iPhoneのアプリケーションはアップルが運営する「App Store」を通じて提供され,キャリアには収益をもたらさない。ビジネス・モデルが異なる以上,iPhoneでYahoo!オークションの入札が有料になるのはやむを得ないということだろう。と理屈では分かっても,一ユーザーとしてはつい「いじわる」と言いたくなってしまう。

 結局,目当てのライブ・チケットは,家族のソフトバンク携帯からモバイル版Yahoo!オークションにアクセスし,無事無料で入札した(落札はできなかったが)。久しぶりに普通の携帯電話からWebを利用したが,こんなに使い勝手が悪いものだったかと眼を疑った。月346円の特典がなくなったことに文句を言いつつも,iPhoneでインターネットを体験してしまうと,もう元に戻れそうにない。