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 読者の皆さんは1993年に,何をしていただろうか。既にITエンジニアとしてバリバリ働いていた方もいれば,まだ学生でバブル崩壊後の就職難に頭を悩ませていた方もいると思う。最近社会人になったばかりの方であれば,当時はまだ小学生で将来ITにかかわる仕事をするなど少しも思っていなかったかもしれない。

 内輪の話で恐縮だが,筆者にとっての1993年は,現在自分が記者として所属する「日経SYSTEMS」の前身の雑誌,「日経オープンシステム」が創刊した年である。日経オープンシステムはその後「日経システム構築」を経て,今の日経SYSTEMSへと続いている。そして日経SYSTEMSは今年の12月号で,日経オープンシステム創刊号(1993年4月号)から数えて200号を迎える。12月号では,その記念特集を編集部の総力を挙げてまとめる予定だ。

 200号の節目を迎えるに当たって,今改めて日経オープンシステムの創刊号を読み返してみると,やはり隔世の感がある。特集記事のテーマは「エンドユーザー・コンピューティング」,記事には「ダウンサイジング」「パソコンLAN」「クライアント/サーバー・システム」といった言葉が繰り返し登場する。ユーザー企業がプロプライエタリな世界からオープンシステムによるシステム構築(=オープン化)への変革に必死で取り組んでいる様子が伺える。

技術や製品と共にスキルも変わったのか

 創刊号のページをめくっていると,「なるほどあのころはそうだったのか」と感慨深いものがある。だが筆者はここで,当時の思い出に浸りたいわけではない。オープンシステム黎明期から現在までの技術の変遷,システムの変遷が,ITエンジニアのスキルにどのような影響をもたらしたのかを考えてみたいのである。さらに言えば,それを考えることが,来たるクラウド時代にITエンジニアに求められるスキルを浮き彫りにすることにつながると思うのだ。

 改めて言うまでもなく,オープン化によって技術や製品は大きく進化した。メインフレームやオフコンの時代に比べれば,OSやデータベース・システムなどのミドルウエア,開発言語といった選択肢が増え,ユーザーはそれらを選択しながら,必要なシステムを構築してきた。また技術の進化に合わせ,システム開発のプロセスも,常に改善し続けてきた。

 こうした変化によって,ITエンジニアにどのようなスキルが求められるようになったのか。例えば,たくさんの技術や製品の中から,必要なもの,役立つものを見極めるスキルはその一つだろう。またオープン化では,技術の専門分化が進んだ上に,変化のスピードが速い。そのため,ITエンジニアが技術を習得しにくくなり,組織における技術継承のスキルが改めて問われるようになっているかもしれない。もちろん,技術や製品が変わっても変わらないスキルもあるだろう。

見極め力は不要か,重要か

 では,クラウド・コンピューティングが広がると,ITエンジニアに求められるスキルはどう変わるのか。技術的な面でクラウドのキーワードといえば,例えば「仮想化」「大規模分散処理」「動的なリソース拡張」などの特徴が挙げられる。それらは,ITエンジニアのスキルにどういう影響をもたらすのだろうか。

 Amazon EC2/S3やGoogle App Engine,Windows Azureといったクラウド・プラットフォームを活用してシステムを構築するとなると,オープンシステム時代のように,その上で使う技術や製品を自由に選択することは難しくなるかもしれない。そうすれば,技術の見極めのスキルは不要になるだろうか。あるいは,今後たくさんのクラウド・プラットフォームが登場し,それらの中から最適なものを選ぶために,ますます重要なスキルになるのだろうか。

 クラウド・コンピューティングの広がりは,企業のシステム開発にとって,1993年当時のオープンシステムへの変革と同じくらい,あるいはそれ以上に大きな変化になりそうだ。そして既にその変化は始まりつつある。ITエンジニアの皆さんは,クラウド・コンピューティングをどこでどう活用していくべきかについて,多くの情報を収集し,検討していることだろう。それと併せて,クラウド時代に自分やチームが身に付けていくべきスキルがどう変わりそうなのかについても,ぜひ考えてみてほしい。そしてその考えをお聞かせいただきたい。

 日経SYSTEMSではこれらを明らかにすべく,現在「ITエンジニアのスキルに関するアンケート」を実施中である。オープンシステム黎明期,あるいはそれ以前からエンジニアとしてITにかかわってきたという方はもちろん,働き始めたのはオープンシステムが当たり前になってから,というITエンジニアの皆さんにも,ぜひお答えいただきたいと考えている。結果は,12月号の200号記念特集などでご紹介させていただくつもりだ。よろしくお願いします。