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 ここ3カ月ほど,Twitterについて聞かれることが多くなった。「Twitterって知ってる?」「やってる?」「どんなもの?」---といった具合だ。「またTwitterか…」と食傷気味な気分になることも,正直ある。

 たしかにTwitterはすばらしい。2008年3月ごろからTwitterを常用している筆者が,Twitterになにかを書き込まない日はほとんどない。ほぼ毎日,ずっと使い続けている。楽しいし,快適で,便利である。

 Twitterがどんなものかご存じないかたは,筆者が担当した記事「笑ってダマされタメになる! きたみとまなめのIT用語集」でTwitterを紹介しているのでご覧いただきたい。ほかにも,Twitterに関する論考はたくさんある。Twitter関連書籍も発行ラッシュだ。これらでは,爆発的なユーザー数の伸び,140文字制限による書き込みの気軽さ,SNSとしての楽しさ,ビジネスへの展開などが語られているようである。

 この記事では,一人のユーザーとして「Twitterが便利であること」に注目したい。まず,筆者が経験した3つの例で,Twitterの便利さを説明する。これらの例に共通することは,だれか,または自らの状況が“オープンであること”がもたらす有用性である。それは,インターネットが社会にもたらす価値の本質に,かなり近いか,そのものずばりではないかと考えている。

「原稿が書けない」とつぶやく著者

 筆者が編集者として仕事するとき,気にする相手といえば著者と読者である。仕事の間,著者や読者のことを思いながら,いろいろな局面でさまざまな判断をする。この判断の質は,著者と読者の情報をどれだけ把握しているかに大きく依存する。

 ここで便利なのがTwitterである。著者がTwitterをしていれば,原稿を書いている様子,あるいはうまく書けない様子,さらには原稿を書かずに遊んでいる様子までわかる。

 だから原稿の取り立てがしやすくなる,という話ではない。これまで,メールや電話などで意図をもってアクセスするか,相手からアクセスしてくれない限り,編集者は著者の状況が見えなかった。原稿が来ない理由が,書こうとしているがうまく書けないのか,書かずに遊んでいるのか,書ける状態ですらないのかを判断できなかった。著者が生きているか死んでいるかすら,連絡がなければわからない。

 もし,Twitterで「書かなきゃいけない原稿をほおりだして飲み会に行くなう」と著者が書き込んでいれば,編集者は,その著者が

  • そのタイミングで原稿を書かなければいけないことを認識している
  • でも若干の罪悪感を抱きつつ,それを放りだす決意をした
  • 少なくとも飲み会に行く元気はある
  • 飲み会に行くことを楽しみにしている

といった情報が得られる。これらの情報を得るためのコミュニケーション・コストは,Twitterを常用する筆者にとってはほとんどゼロだ。

 こうした情報を知らずに原稿を催促することを想像してほしい。Twitterで得られた情報の価値の高さがおわかりいただけるだろう。

付随するさまざまな情報が泉のように

 Twitterで得られる著者に関する情報はこれだけではない。気になるモノ,よく使う言葉や表現,生活パターンなどの情報も届けてくれる。これらの情報も,編集者の仕事における判断の質や精度を大きく助ける。

 読者の反応も同様だ。Twitterを通じて,ある記事を読んだことを紹介してくれた読者は,同時に,普段何に興味を持ち,どんな生活を送り,どんな言葉遣いをするのかの情報を届けてくれる。

 このような著者や読者を「フォロー」しておくと,リアルタイムで次々とこういった情報が日々手元に届く。編集者としての判断に重要な,著者と読者の情報が次々と得られるわけだ。

 ネットは「宝の山」という表現をよく聞く。編集者である筆者にとってのTwitterは,宝がコンコンとわいてくる泉のように見える。便利で手放せない。

電話連絡よりもTwitterでつぶやいてくれたほうが便利

 編集者として仕事をしていないときでも,Twitterは便利だ。2009年10月8日,台風の影響で,首都圏の交通は大きく乱れた。その時間帯がちょうど出社時間に重なり,弊社でも多くの従業員が,通勤できずに出社が遅れた。遅れるからには会社に連絡する---社会人としては当然だろう。

 自宅を早めに出た筆者は,幸運にもいつもよりずっと早い時間に出社できた。なので,オフィスでたくさんの連絡を受け取る立場になった。電話やメール,携帯のメールで,各方面から遅れているという情報が届く。その間も次々と動かなくなる路線が増え続け,だんだん混乱してきた。悲壮感たっぷりの連絡をしてくる人もいた。

 そんな中,ある同僚は自らが遅刻する様子をたんたんとTwitterでつぶやいていた。iPhoneから更新しているようだ。それを会社のPCで眺める筆者は,彼が,いつ,どこにいて,何に困っていて,いつごろ到着しそうか,手に取るようにわかった。これなら電話連絡なんて必要ないし,筆者が知りたいタイミングで彼の最新情報を得られる。便利としかいいようがない。

 さらに,彼が乗っている路線名でTwitterを検索すると,その路線の情報が瞬時に得られた。乗り換え候補の路線名,乗り換え駅の混乱ぶりも同様だ。鉄道各社が自社のWebサイトで公開するよりも早く,各地にいるTwitterユーザーの一次情報が,どんどん手元に集まってくる。別の会社に通うある友人は,このTwitterでの検索を利用して,会社にたどり着いたという。