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 2009年10月22日、Windows 7の店頭販売が始まった。マイクロソフトによれば、Windows 7の予約数だけでWindows Vista発売後の3カ月分の出荷本数を超えたという(関連記事)。一方、企業利用に目を転じると、Windows XPを使い続けて“Vista飛ばし”を狙った企業が、パフォーマンス問題を解決したとされるWindows 7を採用する動きが出てきている。

 Windows 7に対しては、特にパフォーマンスやユーザーインタフェースの向上に対する期待が大きい。XP上で長年利用し続けていたアプリケーションを、Windows 7に移行後も利用できるようにする仮想化機能「Windows XPモード」も、企業にとって魅力に映っている。

 しかし、Vistaが消えたわけではない。Windows 7の動作性能や互換性がクローズアップされているものの、XPを使い続けてきた企業にとっては、Vistaから搭載された機能を初めて利用できることも注目点だろう。

「クライアントOSの80%以上はXP」と企業の7割が回答

 Vistaには、発売された2007年(企業向けのボリュームライセンスは2006年11月発売)当時から、企業向けの新機能が色々と搭載されていた。しかし、実際には多くの企業はVistaに移行せずにXPを使い続けた。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が今年4月に発表した「企業IT動向調査2009」によると、回答企業の7割が「社内で使っているクライアントOSの80%以上がWindows XP」とした。さらに回答企業の58%が「Windows Vistaは未導入」と答えた。

 こうした背景から、「Windows Vistaを飛ばしてWindows 7を導入する可能性がある」という姿勢を示した企業の割合は58%に達している。このようにVistaを飛ばしてWindows 7を導入する企業は、Vistaで追加された“新機能”を、Windows 7で初めて体験することになるのだ。

 例えば、Windows 7の採用を決めたアステラス製薬は、「多言語対応」を評価しているが、これは7ではなく、Vistaから搭載された機能である。同じく、Vistaから搭載されている機能であるハードディスクドライブ(HDD)暗号化の「BitLocker」も、セキュリティ対策の一つとして活用する予定もある。

 アステラス製薬はクライアント環境標準化の施策の一環として、2010年に全世界の約2万台のクライアントPCにWindows 7を導入する計画を立てている。現状のWindows XPからVistaを飛ばして移行するわけだ。

 クライアント環境を標準化するために、同社はOSやオフィスソフトなどの設定を済ませた「グローバル・ベース・イメージ」と呼ぶハードディスクの標準イメージを作成し、これを全世界の拠点に展開していく。グローバル・ベース・イメージを各国でローカライズする際に、多言語対応の機能を活用する。

 多言語対応やBitLockerのほかにも、ユーザーのアクセス権限を制御する「ユーザーアカウント制御(UAC)」など、Windows Vistaから搭載された企業向けの機能は結構ある。企業にWindows Vistaの導入が進まなかったために、これらの機能は多くの企業には知られることがなかった。こうした機能は、企業がWindows 7への移行が進むことによって、ようやく日の目を見ることになったと言える。

 Windows 7では、Vistaの機能が強化された形で利用可能になる。例えば、BitLockerには、ハードディスクドライブだけではなく、USBメモリーも暗号化できる「BitLocker To Go」という機能が新たに加わった。USBメモリーだけでなく、外付けHDDやメモリーカードなども簡単な操作で暗号化できる。万が一USBメモリーやメモリーカードを紛失してしまった際に、BitLocker To Goで暗号化しておくことで情報漏洩リスクの軽減に役立ちそうだ。

 UACはWindows 7で使い勝手が改善されている。Vistaでは構成変更のたびに必ず確認画面が表示されていたが、Windows 7ではこれを条件に合わせて表示させないように調整可能になった。

IPv6ベースのリモートアクセス機能も提供

 Windows 7は、同時期にリリースされるサーバーOS「Windows Server 2008 R2」と組み合わせて実現する新機能も搭載している。目玉になりそうなのが、IPv6ベースのリモートアクセス機能「DirectAccess」と、拠点のファイル利用支援機能「BranchCache」である。

 いずれの機能もサーバーOSにWindows Server 2008 R2、クライアントOSにWindows 7を搭載する場合に利用可能になる。DirectAccessもBranchCacheも、遠隔地からサーバーにアクセスして利用する際の利便性向上を図れる。企業のサーバーがデータセンターに集約されつつある現状を意識した機能と見られる。

 ただし、Windows 7のBitLocker、Windows Server 2008 R2との組み合わせで実現するDirectAccessやBranchCacheといった機能は、EnterpriseエディションかUltimateエディションでなければ利用できない。

 企業の間ではEnterpriseエディションを選択するケースが一般的だろう。Enterpriseエディションを利用するためには、ボリュームライセンス利用者向けのサポートプログラム「ソフトウエアアシュアランス」(SA)を契約する必要がある。

 例えば、SAを契約せずにWindows XP Professionalを利用してきた企業が、Windows 7 Enterpriseに移行しようとする際には、新たにSAを契約するという意思決定を迫られる。

 最後にお知らせがある。日経コンピュータは、Windows 7とWindows Server 2008 R2の発売に合わせ、「徹底解説Windows 7&Windows Server 2008 R2~『働き方』を進化させる新 OSのすべて」と題したムックを作成した。本日から開催されるITpro EXPO 2009の会場で先行販売する。EXPOに来場される皆様にチェックしていただければと思う。