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 最近のIT業界では,海外の企業と協力してシステムを開発することが当たり前になってきました。海外企業との共同プロジェクトにおいては,国の文化の違いに直面することが多々あります。各国それぞれ歴史も地理も違いますから,文化も違って当然です。相手の文化を非難するのではなく,その差を理解して接していくことが,スムーズに仕事を進める上で大切なことだと思います。

 先日,私はアメリカに2週間ほど出張しておりました。アメリカ企業の働き方を見ておりますと,そもそも「チームワーク」に対する考え方が,日本とはまったく異なっているように感じます。まったくの私見ではありますが,今日はそれを紹介します。一言で言うと,チームワークにおいて,日本では“協調”,アメリカでは“自立”が重んじられるようです。

日本の常識がアメリカでは失礼に当たることも

 例えば,日本では「他人を助ける」という行為が高く評価されます。仕事がうまく進まず困っている人がいたときと,その人の仕事を手伝ってあげた人が,「チームワークを大切にしている」と評価されます。また,チームメイトが忙しそうに残業していると,自分だけ先に帰りにくいと感じます。困っている人を助ける。それがチームワークの行動指針となります。言い換えると,“協調”の文化です。

 それに対して,アメリカでは,一人ひとりが自立した個人として扱われます。残業している人がいても,それを手伝うのはかえって失礼に当たることもあるそうです。任された仕事を人に手伝われると,自分の領域を侵害されるような感覚を感じるようです。一人ひとりが自分の役割を果たす。それがチームワークの行動指針となります。言い換えると,“自立”の文化です。

 それぞれメリットもあれば,デメリットもあります。“協調”の文化では,お互いに助け合うので,チームに弱点ができにくくなります。その反面,他の人が助けてくれることを期待して手を抜いてしまったり,「誰かが決めてくれるだろう」と意思決定が遅くなったりするようです。

 “自立”の文化では,一人ひとりがプロフェッショナルとして機能するので,与えられた役割に集中しやすくなります。その反面,一部の仕事が進まないまま放置されたり,意見交換が十分になされず,現場の意見が反映されにくかったりするようです。

“自立”したメンバーが“協調”する組織を作りたい

 この基本的な考え方の違いを知っておくと,互いの国の理解が進みます。例えば,なぜアメリカでは解雇が認められやすく,日本では認められにくいか。アメリカでは任された役割を果たすことが重んじられるので,解雇する人は解雇する権利をプロフェッショナルとして行使し,解雇される人は幾ばくかのお金と引き換えに解雇を受け入れます。自立の文化を考えれば,当たり前のことです。

 一方,日本ではチームのメンバーは協調し合う仲間なので,一部のメンバーだけを排除する「解雇」という行為は,協調の文化に反することになります。解雇することに対して一時金が支払われたとしても,感情的に受け入れることができません。

 この2つのチームワーク。どちらが優れているということはありません。どちらの国にも優れた企業があり,どちらの国にも倒産する企業があります。ですから,それぞれのメリットとデメリットを理解した上で,どのように組み合わせて活かすか。それを考えることが大事ではないでしょうか。

 “自立”したメンバーが“協調”する組織を作る。私も一経営者として,それを目指していきたいと思います。