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 マイケル・ジャクソンのコンサートのリハーサル風景を記録した映画“THIS IS IT”が大ヒットしている。今を象徴するITproなりの“THIS IS IT”な出来事を、読者のみなさんに捧げたい。

 何年か前に、米国のニコラス・カー氏が書いた「IT Doesn't Matter」という論文が評判を呼んだ。ITはコモディティ化しており、企業にとって積極的に投資すべき存在ではなくなりつつある、といった趣旨だった。

 革新が失われればITは確かに重要なものではなくなるだろう。だが今もITは革新を続けており、企業に、社会に、生活にさまざまな影響を与えている。

 今回は最近、筆者が知った「THIS IS IT」な出来事を書いていきたい。少しでも読者の皆さんへの刺激になれば幸いである。

人生の意味を探し出す検索エンジン

 みなさんにとっての「人生の意味」とは何だろうか。かなりの難問だろう。少なくとも筆者はまだこの問題の答えを見つけていないが、WolframAlphaという検索エンジンに対して、この問いを英語で投げかけると、疑問への答えを探し出してくれる。

 回答を含んだWebサイトのリンクを示すのではない。回答そのもののWebページを生成するのだ。ITはここまで進歩している。WolframAlphaが示す人生の答は「42」である。42という数字を見て何だと思う人は多いだろう。

 42という数字には意味がある。長年にわたってカルト的な人気を得てきた英国のSF小説で、2005年に映画化された「銀河ヒッチハイク・ガイド」というカルト小説のなかで、生命や宇宙に関するすべての答えとして示されるのが42という数字なのである。

 42という数字は本質的な回答ではない。それでも、人生の意味に対する回答として42という数字を提示する検索エンジンが存在するという事実に筆者は感動する。

 これだけではない。英語で「日食」と打ち込めば次回の日食がいつ起こり、どこで観測できるかを表示したし、39歳の男性の残りの平均寿命が何年かという問いにも、WolframAlphaは回答を作成した。

 WolframAlphaを開発したのは、各種の科学技術計算に用いるソフトのMathematicaの開発で知られる米国のウルフラムリサーチ社である。10月16日に、科学技術政策研究所が主催した講演で、ウルフラムリサーチの戦略ディレクターであるコンラッド・ウルフラム氏の話を聞く機会があった。

 WolframAlphaはMathematicaのアルゴリズムを用い、ネットなどから集めた大量の情報を分析して、回答を作成する。現時点での回答作成率は80%台だ。ウルフラムリサーチはWolframAlphaの公開に、23年の年月が必要だったという。23年である。

 究極の問いに答える存在を目指す不断の試み、まさにTHIS IS ITである。