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 2009年2月27日,携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」並びに同ゲーム機用のゲームソフトを格納したゲーム・カード(DSカード)を製造,販売するゲームメーカーが原告となり,通称マジコンと呼ばれる装置を輸入・販売していた法人を被告として,マジコンの輸入・販売は,原告(ゲームメーカー)が採用している不正競争防止法第2条7項の「技術的制限手段」を無効化するものであり,不正競争防止法第2条1項10号の不正競争行為に該当するとして,輸入,販売等の差止め及び在庫品の廃棄を求めていた事件の判決が言い渡されました。

 同法の「技術的制限手段」の該当性が問題となった数少ない事案であり,社会の耳目を集めていた事案でもありますので,今回は,この裁判例を題材としてとりあげてみます。また,その前提として,本件で問題となった不正競争防止法上の「技術的制限手段」と著作権法上の「技術的保護手段」との異同についても整理しておきたいと思います。

1 著作権法上の技術的保護手段と不正競争防止法上の技術的制限手段の異同

 コンテンツを保護する技術的手段として,法律的には著作権法上の技術的保護手段と不正競争防止法上の技術的制限手段があり,以下のとおり規定されています。

著作権法第2条20号
二十 技術的保護手段 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法(次号において「電磁的方法」という。)により、第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権又は第八十九条第一項に規定する実演家人格権若しくは同条第六項に規定する著作隣接権(以下この号において「著作権等」という。)を侵害する行為の防止又は抑止(著作権等を侵害する行為の結果に著しい障害を生じさせることによる当該行為の抑止をいう。第三十条第一項第二号において同じ。)をする手段(著作権等を有する者の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物、実演、レコード、放送又は有線放送(次号において「著作物等」という。)の利用(著作者又は実演家の同意を得ないで行ったとしたならば著作者人格権又は実演家人格権の侵害となるべき行為を含む。)に際しこれに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録し、又は送信する方式によるものをいう。
不正競争防止法第2条7項
この法律において「技術的制限手段」とは、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)により影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録のために用いられる機器をいう。以下同じ。)が特定の反応をする信号を影像、音若しくはプログラムとともに記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音若しくはプログラムを変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。

 この両者の違いはどのような点にあるのでしょうか。コンテンツを保護する手段としては,コンテンツの無断複製を防止する手段(コピーコントロール)と,コンテンツの視聴を制限する手段(アクセスコントロール)の2つがあります。前者の代表例としては,SCMS(シリアルコピーマネージメントシステム),CGMS(コピージェネレーションマネージメントシステム),マクロビジョン方式等があり,後者の例としては,CSS(コンテント・スクランブリングシステム)等があります。

 このうち,著作権法上の技術的保護手段に含まれるのは,コピーコントロールのみです。著作権法では,「複製」という点が重視されているため,技術的保護手段はコピーコントロールのみを対象としています。