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 テレビ放送,データ通信,電話という3つのサービスを1本の回線で提供する「トリプルプレー」をめぐり,通信事業者やケーブルテレビ事業者が入り乱れて,販売競争を行っている。しかし,消費者がそのサービスの内容を正しく理解することは,非常に難しいのではないだろうか。

 私ごとで恐縮だが,今わが家はNTT東日本のFTTHサービスを利用している。そして,110度CS放送で多チャンネル放送を見ている。職業柄,数年に1回のペースで通信・放送の環境を変えて,いろいろ体験するようにしている。「家計が厳しいのに,こんなことに一杯お金を使って・・・」と家内からは不評を買っている。

 先日,家に帰ると家内が「相談がある」と待ち構えていた。何でも,昼間に某社の営業担当者が来て,「今利用しているサービスは,途中までわが社の回線だ。なので,うちと契約すると安くなる,と言われた」という。筆者としては,何を言っているのかさっぱり理解できない。営業担当者は土曜日に改めて来るという。こんないい加減な話しはあり得ない。「詐欺なのではないか。きっと来ない」と思っていたら来た。そして普通に,某社のFTTHサービスの内容を説明してくれた。

 別の日に家に帰ると,また家内から「相談がある」といわれた。「600円かそこらで,CSの番組も見られるらしい」という。これも,また後日営業担当者が来て,普通にフレッツ・テレビの説明を行った。想定外のことなのだが,うちの家内には,地上デジタル放送とCSデジタル放送との区別がつかないようだ。恐らく,「地デジのアンテナが不要」ということを,CSアンテナも不要と勘違いし,CSの番組もその値段で一緒に見られると考えたのではないだろうか。

 うちの家内は,いたって普通の嫁である。しかし,トリプルプレーのサービス内容を理解することは難しいようだ。今回はたまたま私が「あり得ないこと」と判断し,自分で説明を聞くことにしたからよかった。しかし,もし自分が門外漢であり,「その話に乗った」ということにしていたら,大変なことになったに違いない。もしかしたら,消費者センターに電話して,話が違うと文句を言った可能性も否定できない。

 この体験のあと,ふと思い出したことがある。日経ニューメディアの9月21日号で取り上げた某記者による記事である。内容は,総務省がこの9月に開催した「電気通信消費者支援連絡会」の様子をまとめたもので,ある消費者センターが扱った多チャンネル放送のデジタル化の関連で相次いだトラブルの事例を紹介している。消費者に対して「多チャンネル放送を利用する選択肢があることの説明が不十分だった」と問題視し,「地上波放送のデジタル化について十分な知識を持たない高齢者も含まれている。こうした利用者に誤解を与えることのないように指導した」というものだった。

 家内は今でも,「おかしい。私への説明と全然違う・・・」と文句を言っている。これについては,録音をとっているわけでもなく,今となっては判断のしようがない。

 もし,家内の言っている通り,営業担当者が人の顔を見て説明の内容を変えているとしたら問題外である。しかし,そうでなくて,正しく説明していたにもかかわらず理解できていなかったとしたら,家内が悪いのだろうか。そうでもないだろう。それほど,説明の難しい商品になっていると思う。慎重すぎるくらいの丁寧な説明が必要であり,それでも一定の確率で,消費者センターに苦情がいくことになりそうだ。

 そういえば,両方のケースとも説明書を一切もらっておらず,そのため筆者も実際に会うまで何のことか理解できなかった。少なくとも今回のケースでは,説明する者の立場として,2人の営業担当者は最低限行うべき準備,つまり資料を用意し置いていくということができていなかった。