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 新しい年を迎えて初めてする習字を「書き初め」というが、書道とは縁のない筆者は遅ればせながら1月15日に「話し初め」をした。お客様を訪問しての講演で、「ミニ・セミナー」と呼んでいる。この日はIT部門の部長以下、ネットワークにかかわっている方、10人ほどに聞いていただいた。ミニ・セミナーのいいところは、100人、200人を対象とするセミナーではいろいろな立場の人が来ているために話し難いことを一歩踏み込んで話せることと、聴講者が少人数かつ同じ会社の人たちなので質問しやすいことだ。深い話が出来るので具体的な提案につながることが多い。この日は企業ネットワークのこれまでと、これからについて幅広く話をさせていただいた。

 「これまで」の話の中で驚かれたのは、積水化学さんをはじめ、私が手掛けた大規模ネットワークではことごとく、ブランド品のルーターをとっぱらい国産ルーターやスイッチに置き換えたことだ。この会社もすべてブランド品で固めているので、担当の方からどうしてリプレースしたのかと質問が出た。「実質本位で性能、品質、価格を比較してネットワーク機器を選択した結果です。ユーザーとしてブランドにとらわれず良いものを選択できることは大切です。特定のブランドしか使えないユーザーは、知らないうちにそのベンダーの奴隷になっているのです」。質問した方は「なるほど、これだけ大規模なネットワークで事例がたくさんあれば大丈夫でしょうね」と納得してくれたようだ。

 ことはネットワーク機器に限らない。メールやグループウエアなどのアプリケーションについても同じことが言える。自分の頭で考えて実質本位で製品やサービスを比較し選択する、という当たり前のことを新鮮だと感じる企業はまだまだ多いのだと改めて思った。なので、これからも繰り返し繰り返し講演で話し、こうして文章にも書こうと思う。

 さて、今回は最近盛り上がりを見せているTwitterを題材に「ゆるい」コミュニケーションの価値と、これからの企業ネットワークではネットワークそのものの設計以上に「コミュニケーションのデザイン」が重要だ、ということを述べたい。

Twitterとは?

 このコラムを読んでいる方の多くはご存じだろうが、Twitterとは「今何してる?」という問いに対して140字以内のメッセージ(ツイート=つぶやき)を書き込むことで成立している無料のコミュニケーション・ツールだ。書く内容はまったく自由で、今やっていることを書くと決まっているわけではない。Twitterを使うには氏名、ユーザー名、メール・アドレスを登録するだけでよく、氏名は本名である必要はないので匿名性を保って利用できる。登録すると自分のホームが出来、書き込んだツイートは新しい順に表示される。これをタイムラインと呼ぶ。

 他のTwitterユーザーのフォロワーとして登録しておくと、そのユーザーのつぶやきもリアルタイムでホームに表示される。互いにフォローし合っているユーザーはチャットのように会話できることになる。個人だけでなく、新聞社がニュースの配信に利用したり、一般企業が広報に使っている。例えば、新聞社のフォロワーになっておけば時々刻々書きこまれるニュースがタイムラインに表示される。 

 Twitterはさほど新しいサービスではなく、2006年7月に米国でサービスが始まり、2008年4月に日本語版が提供された。その国内利用者が最近になって急激に増えているそうだ。2009年1月には20万程度だったユーザー数が、12月には400万になったという推計もある。2009年末にはソフトバンクの孫社長(http://twitter.com/masason/)が、2010年元旦には鳩山首相(http://twitter.com/hatoyamayukio)が実名でTwitterを始めたことも話題になった。

 Twitterがコンシューマーに広がる理由は理解できる。好奇心を満たすという意味での娯楽性が高く、仲間内のつながりを保つツールとしても便利だからだ。有名人のスピーチや公式な文書は入念に計算されたもので、そこに個性や本音は表れにくい。しかし、140字というさりげないつぶやきにはそれらが垣間見える。鳩山さんのツイートを読んで面白いとは思わないが、孫さんのそれはいかにもという感じで興味深い。有名人や企業にとって相手の匿名性は問題にならず、自分や会社をよりよく知ってもらい、自分がどう受け止められているかフィードバックを得る手段として有効だ。

 このTwitterを企業はどう活用すべきだろうか? 「堅い」コミュニケーションと「ゆるい」コミュニケーション、という観点で考えてみたい。