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 最近、「まだ割り振られていないIPv4アドレスが残り10%を切った」というニュースに触れた方がいるかもしれない。これ実は、「IPv4アドレス枯渇」といわれる問題に関連した話題である。パソコンやルーターなどインターネットにつながる端末には、グローバルIPv4アドレスと呼ぶ一意のIPアドレスを割り当てる。この在庫の大元はIANA(Internet Assigned Numbers Authority)という組織にあるのだが、ここの在庫が10%未満になってしまったのだ(関連記事)。

 IPv4アドレスの枯渇は、インターネット接続サービスを手掛けるプロバイダー(ISP)だけの問題ではない。インターネットでビジネスをするデータセンターやASP、あるいはネットビジネスを手掛ける企業も無関係ではない。「ビジネスを拡大してIPv4アドレスを追加でもらおうとしたが入手しづらい」「1個のIPv4アドレスを複数ユーザーで共有する顧客が出てきたのでログやアプリケーションを対応させる」「IPv6だけでインターネットを使う顧客が現れた」などのケースを想定し、策を練る必要がある。

 枯渇問題は、のちには一部のエンドユーザーにも影響してくる。「ブロードバンドルーターなど宅内機器の置き換えまたは追加が必要になる」「ISPから割り当てられるアドレスの種別が変わる」といったケースに遭遇する可能性があるのだ。

その瞬間に出た強いメッセージ

 IPv4アドレスの在庫が10%を切ったのは今年の1月19日。IANAは、約1677万のIPアドレスを1ブロックとしてブロック単位で世界各地域にあるRIR(地域インターネットレジストリ)と呼ばれる組織に割り振っている。この日IANAは、2ブロックをアジア太平洋地域のRIRであるAPNIC(Asia Pacific Network Information Centre)に割り振り、その結果在庫は全256ブロックのうち24ブロックになった。

 この割り振りの直後、世界に五つあるRIR(AfriNIC、APNIC、ARIN、LACNIC、RIPE NCC)で組織するNRO(Number Resource Organization)は、未割り振りのアドレスが10%を切ったことを伝えるプレスリリースを発表し、IPv6の実装を呼びかけた。タイミングよくAPNICの事務局長が来日し、1月20日に新潟市内で開催された「JPNICオープンポリシミーティングショーケース 3」という会合で講演した。その最後で「2010年はIPv6実装の年といえるようにしたい」とコメントしている(関連記事)。枯渇対策は「現在のIPv4アドレスを効率的に使う」と「次世代のIPv6に移行する」の大きく2種類があるが、どちらに重きを置くかの考え方は人によって違う。RIRは、明確に「IPv6に行かないと」というメッセージを発したわけだ。

 この日、同じ会場でIPv6関連の「IPv6 Summit in NIIGATA 2010」という会合も開催されており、そこに地元のプロバイダーであるグローバルネットコアの担当者がパネルディスカッションに参加していた。この担当者は「今日、データセンターのインターネット接続サービスにIPv6のメニューを加えました」と同社の取り組みを紹介(関連記事)。地元ISPのIPv6対応についての状況を説明したあと、「考え込んでいるとIPv6でつながっていかない。上流の事業者が対応しないことで全体(のIPv6対応)がふさぎとめられてしまう。需要がないからという話はそろそろ終わりにしたい」という内容の話をしていた。IPv6 SummitはIPv6の会合であるにしても、これからIPv6の導入や移行のメッセージがきっと増えていくだろうと感じた2日間だった。

「IPv6対応」を具体的に見ることが必要に

 話は10%割れの少し前にさかのぼるが、個人的に「今年は、“IPv6対応”というキーワードを昨年までより具体的に考えよう」と思うようになった。これは「日経NETWORK」2月号でネットワーク機器カタログの見方、読み解き方の記事を担当した際の取材がきっかけだった。

 この記事に関して、ジュニパーネットワークスに「SSG140」というUTM(統合脅威管理)装置のカタログの見方を聞きに行ったときのこと。仕様一覧表の「IPv6対応」項目の話になり、「IPv6のところはいくつか気にしなくてはいけないことがあります」と、IPv6対応の詳細について説明を受けた。この機種はルーターとセキュリティ機能のうち、ファイアウォール、VPN、DoS攻撃防御、アプリケーションレベル・ゲートウエイはデュアルスタックに対応しており、IPv6で利用できる。一方、その他のセキュリティ機能(ウイルス対策、スパム対策、URLフィルタリングなど)は未対応。HA(high availability)構成は、デュアルスタックで可能だった。

 直近のIPv6移行を視野に入れて製品を選ぶとなれば、「IPv6対応は○」だけでは不十分。ユーザーはネットワークの用途から使いたい機能が決まっており、その機能がIPv6で使えることまで確認できることが必要になる。今年は、製品ニュースや製品解説の記事を担当する際に、導入を決めているユーザーに必要な詳しさで“IPv6対応”をお伝えするようにしていきたい。

 ここでは触れなかったが、現在のIPv4アドレスを効率的に使うというアドレス枯渇対策も着々と進んでいる。IPv6移行の話題と併せて、ITproにある「IPアドレス枯渇カウントダウン」コーナーと日経NETWORKでお伝えしていくので、折を見てご覧いただければと思う。