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 ツイッターの普及とともに、ツイッターを活用する企業が増えてきた。例えばソフトバンクグループでは約2万人の全社員がツイッターで情報を発信しているほか、孫正義社長も自らつぶやき、15万人以上のフォロワーを持っている。ほかにも、テーブルマーク(加ト吉)などが積極的にツイッターを利用して人気を博している(関連記事)。

 企業にとってのツイッターの魅力は、ほとんど費用をかけなくても、大きな効果を得られる可能性があるところだ。3月4日に発行した新刊『ビジネス・ツイッター』(シェル・イスラエル著)では、そんな成功事例を数多く紹介している。例えば米デルは、ツイッターを通して中古のパソコンを2年で300万ドル(約3億円)売り上げた。顧客満足度が低いことで有名だった大手ケーブルテレビ会社のコムキャストは、ツイッターによるユーザーサポートで9%も顧客満足度を引き上げた。ビデオ共有サイトのseesmic.comは、ツイッター・ユーザーにアルファ版を試してもらい機能を改善した――といった具合だ。

個人アカウントでつぶやき始める

 さて、『ビジネス・ツイッター』という本を編集しているのに、本書に関連してツイッターを使わないのはいかがなものかと考えていた。ところが日々の編集作業に夢中になっているうちに2月に入り、発行まで1カ月を切ってしまった。印刷会社への入校目前、原稿が8割程度そろった2月6日(土)、「何もしないのはやっぱり問題。よし、つぶやくぞ!」と思い立った。

 ところがいざつぶやこうと思った時に、悩ましい問題に直面した。まず、公式アカウントでつぶやくのかどうか、次にハッシュタグをどうするのか、そしてそもそも何をつぶやくのかである。個人的にツイッターは使っていたものの、仕事の本のこととなると、やはり構えてしまう。

 まず、「本の公式アカウントを登録してつぶやく」というのが分かりやすいやり方だとは思う。ただし、『ビジネス・ツイッター』の著者であるシェル・イスラエル氏は、本書の中で「ツイッターでは個人を出すべきだ」と繰り返し説いている。その理由は、「ツイッターは会話であり、相手が何者か分かった方が話しやすい。また、仕事をする際は互いに相手を知り、理解し合っていることが重要なファクターとなる」から。無機質な公式アカウントで事務的につぶやいたら、興味を持ってくれる人が少ないかもしれない。これに対して、公式アカウントとして運営しながら担当者名を出すという方法もあるし、担当者の実名でつぶやく方法もあるが、どうせならとことん個人を出そうと考え、あえて担当編集者の私のアカウント(@hirominakagawa)で、『ビジネス・ツイッター』についてもつぶやくことにした。

 次に、ハッシュタグをどうするか。ツイッターでは、話題ごとに「ハッシュタグ」と呼ばれるキーワードを入れておくと、特定の話題のつぶやきを検索できる機能がある。ハッシュタグは誰かに申請するものでもないが、誰かが使っているハッシュタグを使うと話題が混在するので混乱してしまう。使っていないハッシュタグであり、話題に関連したキーワードであり、それほど長くないというのが理想である。

 こういう時は、詳しい人に聞くのに限る。本書の翻訳者であり、シリコンバレーのニュースブログとして有名なTechCrunchの日本語版の翻訳チームのメンバーでもある滑川海彦さん(@namekawa01)と前田博明さん(@torisan3500)にメールしてみた。するとすぐに、「#biztw」というハッシュタグを推薦してくれた。そしてつぶやき始めたのが、自宅で編集作業をしていた2月7日(日)の午後10時過ぎだ。本についてつぶやくと宣言したところ、本書の解説者である林信行さん(@nobi)がRT(リツイート、引用・再投稿)してくれ、私のフォロワーは10分程度で100人以上も一気に増えた。

編集ダダ漏れで楽しんでもらおう

 では何をつぶやこうか。つぶやく目的は『ビジネス・ツイッター』という本があり、その内容を少しでも多くの方に知っていただくことである。ただし、単に本が出るということだけを連呼していても、面白くもなければ、ためにもならない。そんなつぶやきをずっと続けているアカウントがあったら、私はフォローを外してしまうだろう。そこで、少しでも読んで下さる方が楽しんでいただけるようにと、私のドタバタ編集ぶりをダダ漏れすることにした。リアルタイムに本ができて行く過程を実況できたら、それなりに楽しいのではないかと思ったからだ。

 こうして、『ビジネス・ツイッター』の編集ダダ漏れが始まった(こちら)。例えば、超多忙の中で解説を書いてくださった林信行さんからの原稿と滑川さんからの訳者あとがきが届いたのは、印刷会社への入校予定2日前の2月8日(月)の早朝。原稿が来た喜びやそのお礼や感想を早速ツイッターに投稿した。

 その後も、「ゲラを読んでいます」「ページ数の計算を間違った」「帯に書き込むために事例がいくつあるか数えています」「翻訳チームが校正に来てくれました」「出張校正に行ってきます」「見本ができました」「今日発売です」など、編集にまつわるあらゆることをリアルタイムに書き込んだ。見本ができた後は、本の一部を引用してツイッターで順次紹介をしている。

 私のつたない投稿が、どれだけ『ビジネス・ツイッター』の認知を上げることにつながったかはわからない。しかし、1カ月で私のフォロワーは400人程度から950人を超えた。また、ツイッター効果だけではないかもしれないが、発売日翌日という異例の早さで増刷が決まるという結果も出ている。

未来のユーザーと大いに近づける

 確実に言えるのは、悪いことは何もないということだ。ツイッターをする時間が長引き、仕事時間が長引くという負担はあるが、それを上回るうれしさがあった。担当者である私はツイッターで励ましてもらい、元気をもらうことができたからだ。「ページ数の計算を間違った」とか、「ビジネス・ツイッター」を「ツイッター・ビジネス」と言い間違えるなど、自分でもあきれるほどうっかりな編集者に対して、面識がある人もない人も、多くの人たちが、「おもしろそう」「お疲れさま」「予約したよ」「おめでとう」といった温かい言葉をかけてくれた。「買いました」「面白かった」などと教えてくれる人もいる。こうしてツイッターで会話することによって、未来と今の読者の方たちと大いに近づけたように思う。

 編集者のツイッター活用は、ほかの業種の企業にはあまり参考にならないかもしれない。ただ、自社のユーザーと会話して生の声を聞けるという点はどんな業種でも同じように貴重なことだと思う。ぜひ多くの企業、多くの担当者の方がビジネス・ツイッターを試していただければと思う。何しろ、設備投資も広告宣伝費もほとんどかからないのだから。