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 ここ2~3年、地図閲覧やメール送受信などの作業を、パソコンにインストールするソフトウエアではなくインターネットサービスでまかなうケースが増えてきた。記者はこの種のサービスをスマートフォンから利用することが多い。小型でインターネット接続機能を持ち、場所を問わず手軽に使えるからだ。

 その一方で海外に出かけたときは、通信環境に不安や不便さを感じることが少なくない。利用料金が気になるからである。できれば日本にいるときと同様、場所を問わずインターネットサービスを使いたいのだが、利用料金が日本と違って総じて高い。しかも、どのくらいデータを送受信したかを把握するのが難しく、支払い額を読みにくい。

 日本では定額の(または料金に上限がある)モバイルデータ通信サービスを簡単に利用できる。インターネットサービスを安心して使える環境を下支えしている点が、海外と違っている。インターネット接続を追加料金なしで提供する宿泊施設もあるが、街中でスマートフォンを使えるわけではない。携帯電話事業者の国際ローミングサービスは従量制(一部は一定量を超えると従量制)である。

 こうした事情のため、このところは現地で使う可能性が高いデータをすべてスマートフォンやパソコンに取り込み、「これで足りなかったら、高い通信料金を払うかデータの利用や入手をあきらめる」と観念して出発していた。

海外で利用できるモバイルデータ通信サービスが充実

 ところがここ最近、状況が変わってきた。海外渡航者向けのモバイルデータ通信サービスが充実し始めているのだ。海外旅行者向けに携帯電話のレンタルサービスを提供している事業者が、一部の国・地域を対象に定額で使えるデータ通信のレンタルサービスを開始している。

 記者は先日、イタリアに行く機会があった。出発前にWebで現地の通信手段を調べてみると、通信料金が定額のモバイルルーターを貸し出すサービスを発見したので利用してみた。これは、WAN側はHSDPAなどの携帯回線につながり、LAN側は無線LANで端末をつなげるようにしてあるバッテリー駆動のルーターである。

 このとき利用したのはインターコミュニケーションズというレンタル事業者で、借りたのは米ノバテル・ワイヤレスのモバイルルーター「MiFi」だった。パソコンとスマートフォンを一緒に持っていったが、街中でスマートフォンを接続して地図サービスを利用したり店の住所を調べたりする機会が圧倒的に多かった。

 利用明細から1日あたりの支払い額を計算してみると、通信料金とモバイルルーターのレンタル代に補償を付けて1930円だった(このほか受け渡し手数料が500円かかった。消費税は別途)。国内より高いが、これが上限である。これで国内にいるときと同様にインターネットサービスを利用できた。

 後日インターコミュニケーションズに聞くと、最初は通信が一定量を超えると従量制になるメニューだけを提供していたそうだ。国内に定額データ通信サービスが普及した2009年夏ころから、海外でのデータ通信を定額にしてほしいと要望が寄せられるようになったという。

 そこで同社は2009年10月に、5カ国・地域を対象に定額のデータ通信サービスを開始。2010年1月にどの国・地域でも同じレンタル端末(USBモデム)で利用できるようにした後、定額で利用できる国・地域を拡大していった。現在は20カ国で定額サービスを利用できる。2010年4月に、iPhoneやiPadを安心して使えるようにするニーズを狙い、モバイルルーターをレンタル品目に加えている。

 海外での定額のデータ通信サービスに力を入れているのはインターコミュニケーションズだけではない。レンタル事業者のテレコムスクエアもその1社だ。

 テレコムスクエアは3年ほど前から、中国や米国など2~3カ国を対象に定額でデータ通信を使えるレンタルサービスを提供してきた。2010年3月から定額で利用可能な国・地域を拡大しており、現在は10カ国・地域で目標は20カ国・地域という。

 今年3月から、モバイルルーターをレンタル品目に加えた。背景にはやはり無線LAN機能を持つスマートフォンの増加があるそうだ。パソコンならUSBモデムで対応できるが、スマートフォンだと無線LAN接続で済むモバイルルーターの方が向く。モバイルルーター1台に無線LAN端末を5台まで接続できるので、同行者とレンタル料金を割り勘するような使い方をしやすいこともメリットだと同社は解説する。

 定額化の波は、携帯電話事業者の国際ローミングサービスにも押し寄せている。ソフトバンクモバイルの孫正義社長はTwitterで最近、海外パケット定額を7月下旬に主要国で始めるという内容をつぶやいている。5月18日の新製品発表会でも、7月以降に国際ローミング時のパケット定額サービスを開始することを明らかにした(関連記事)。

 今後、インターネットサービスへの依存度がより高くなり、それを海外にいる場合でも携帯端末から使う機会が増えていくはずだ。海外で使える定額のデータ通信サービスの重要性は、これからますます高まっていくのではないだろうか。