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 新内閣を発足させた民主党の新幹事長の会見で、「透明性」がキーワードと伝えられていた。筆者としても新しい政権下で政策プロセスの透明性が一段と高まるよう、大いに期待したい。

多くの議員がTwitterやUstreamの利用に寛容

 このところのTwitterやUstreamなどのツールが普及したおかげで、技術的にも議論のプロセスの透明性が高まる環境が整った。この数カ月、通信分野の話題だけでも、ブロードバンド環境を全世帯に広げようという「光の道」構想や、端末と通信サービスの組み合わせの自由度を高める「SIMロック解除」などの話題が瞬く間に広がり、多くの人が議論に参加して盛り上がった。ネット関連のツールがなければ、これらの話題が短期間で広がることはなかっただろう。

 民主党の多くの議員が、こうしたツールの利用に寛容あるいは自ら積極的に活用、議論を促し多くの意見を取り込もうという姿勢を見せていることは評価すべきポイントだ。例えば、民主党の岸本周平議員は「既得権益と官僚主導を排除する」「民間のイノベーション誘発と、それを促す新たな行政の在り方を目指す」とし、既存の常識や慣習にとらわれない大胆な提案を期待する姿勢を示している。

 同じく高井崇志議員は「既存のやり方を批判することで官僚は反論するはず。これがいい」「4月に民主党 情報通信議員連盟が示した情報通信八策は、あくまでたたき台だ」とし、官僚や国民の多くに政策策定に参加してほしいと呼びかけている。

 これを受け、議論の仕掛け人たちは「政治家が、“ここまで議論をしてもいい”と範囲を示してくれたことが大きい」(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科の金正勲准教授)と、新政権の方針を支持している。その結果、これまでになく活発な議論が行われ、以前は表に出にくかった個人の本音が政治家の耳に直接入るようになっている。

透明性を確保できないものには「何かある」

 例えば、先日慶應義塾大学で開催されたシンポジウム(関連記事)では、参加者から「役人主導の電子化は、手作業の無駄がそのまま踏襲されている」という指摘があった。「公的文書は、公的機関のために発行されているものがほとんど。紙をもらって、ほかの役所に持っていき、そこで証明書として使われる。このケースなら、ユーザーは特定の文書のアクセス権を別の機関に渡せばそれで済む」という。

 もっともな指摘であり、シンポジウムに同席した議員もうなずいていた。こうした発想は、省庁内だけの電子化を考える場では出てこない。ごく当たり前のことが実現できないのは、縦割りという組織が悪いのであり、こんな場面でこそ政治主導で悪しき習慣を無くしてもらいたい。

 逆に、透明性を確保できないものには「何かある」という目が向けられる。近々の話題で言えば、無線周波数の割り当てにおける“比較審査”は、透明性が厳しく問われるケースになりそうだ。

 例えば、6月7日に基地局設置申請が締め切られた携帯端末向けマルチメディア放送の周波数割り当ては、1枠に2社が申請、比較審査がこれから行われる。

 岸本議員は先のシンポジウムで、審査前から「すでに勝負あり」という空気があることや、行政側の裁量で事業主体が決まることに疑問を投げかけていた。比較審査のプロセスが透明性のないものであれば、事業主体の決定プロセスが明快な「電波オークション」が代替手段として浮上するだろう。民主党議員は電波オークションを積極的に導入しようとする姿勢を示しているからだ。

 政治も結果がすべてである。結果が伴わなければプロセスが間違っていたとみなされる。透明性が損なわれないよう、新政権の継続的な取り組みに期待したい。