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コストなどが利点、ビジネスにする工夫が求められる

 続いて「OSSのメリットとデメリット」をどう見ているか尋ねた。メリットについては、ほとんどの意見が一致する。よく言われるとおり、コストの安さ、そしてソースコードが公開されていることにより障害原因の究明や修正、カスタマイズのための手段が万人に開かれていることだ。

 デメリットは、情報が一元化されていないこと。OSSに関する情報は少ないわけではなく、むしろ溢れているが、「どの情報が最新のものか見極める必要がある」(NEC 淡路氏)。

 富士通SSLの筒井氏は「フリーのものをビジネスにするためには工夫が必要」と指摘した。有償のソフトウエアは価格の何%といった年間保守料をユーザーに要求できるが、無料のソフトウエアでは要求できない。ソフトウエアの組み合わせを検証して、システムとして可用性を保証するなど、有償ソフトウエアとは異なるスキームが必要になる。

クラウドと世界へ

 3番目に聞いたのは「OSSの利用がどう変化していくか」。最も多かったのは、やはり「クラウドコンピューティングでの活用が拡大していく」という答えだ。Linuxのほか、ハイパーバイザーのXenやKVM、分散処理ソフトのHadoop、Amazon EC2/S3互換のクラウド基盤Eucalyptusなど、クラウドですでに広く利用されている、あるいはこれから拡大が見込まれるOSSは数多い。

 ただしここでも、日本の企業ユーザーの要求に耐えうる品質を、どう作り込んでいくかがカギになるという。

 また日立システムアンドサービスの吉田氏は、SIのグローバルへの展開、特にアジアへの展開にOSSがカギになると指摘する。アジアでは特にコストが重要になり、OSSが重要な選択肢になる。

日本発OSSが“定番”に

 今回の調査で目立ったのは、プログラミング言語のRuby、Javaアプリケーション・サーバーのSeasar2、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のOpenPNEという日本発のOSSが、最上位の「使用実績多数」となったことだ。「使用実績多数」とは、SI Forum参加企業の半数以上が利用していることを示す。いずれも昨年までは、1段階下の「使用実績あり」だった。

 セミナーでは、100人規模の専門組織「Rubyセンタ」を設立した日立ソフトウェアエンジニアリングの堀江謙一氏、OpenPNEの開発元である手嶋屋の代表取締役 手嶋守氏が講演した。

 日立ソフトがあるシステムの一部をJavaとRubyで試作したところ、Rubyのプログラムステップ数はJavaの約30%で済み、仕様変更、バグ修正工数も削減されたという。同社では社内コミュニケーションツールをRubyとアジャイル開発手法の組み合わせで開発しており、このツールには約5000ユーザーが登録、1日約250件の投稿がある。

 手嶋屋が開発しOSSとして公開しているOpenPNEは、数万のSNSで使われているという。手嶋氏は「OSSとして公開したことでシェアを獲得でき、会社の知名度が上がり人材を採用しやすくなったと実感している」と語る。

あらゆる場所にOSS、支えるのは技術者

 改めて感じたのは、OSSが情報システムのあらゆる場所で使われるようになってきていることだ。ただしOSSを採用すれば必ずコストが削減できるとは限らないし、ソースコードが公開されているといっても、知りたい情報がすぐに手に入るとは限らない。ユーザーに価値を提供するシステムを実現するのは、構築に携わる技術者の地道な努力だ。そのことを再度確認した1日だった。

■変更履歴
2ページ目の第4段落で「分散キーバリューストアーのHadoop」としていましたが,正しくは「分散処理ソフトのHadoop」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2010/07/08 12:13]