ソーシャルメディアの普及やスマートシティの構築などにより、データ量が指数級数的に増える“情報爆発”と呼ばれる状況が、ますます鮮明になってきた。そんな状況が記者には、「コンピュータをスマート(賢く)にするために、みんなで育てている」ように映る。だれもが育児中ならぬ“育コン中”というわけだ。

 米調査会社のIDCによれば、デジタル情報量(生成および複写を含む)は2007年時点で281エクサバイト(エクサは10の18乗)、2010年にはおよそ1ゼタバイト(ゼタは10の21乗)になる。2009年までに生成されてきたデータの総量を、2010年の1年間だけで生成するとも言われている。

 これほどまで大量のデータが生み出される要因の一つが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などに代表されるCGM(消費者生成メディア)の台頭だ。「Twitter」など、より手軽に意見や感想を発信・参照できる仕組みや、「YouTube」のようにだれもが動画像を投稿できる仕組みもある。尖閣諸島沖での中国漁船の衝突映像がYouTubeに流出した事件などは、CGMの影響力の大きさを証明してみせた(関連記事:尖閣沖の中国漁船衝突ビデオ流出---YouTubeを10分で理解する)。

 加えて最近は、こうしたサイトの来訪履歴といったログの価値も高まっている。EC(電子商取引)サイトにおける“お薦め(レコメンデーション)”機能に代表されるように、利用者のクリック一つひとつが記録され分析されている(関連記事:売上高5%増を実現するレコメンデーションエンジン)。CGMや各種のログを企業活動に生かすためのコンサルティングやサービス/ツールも続々と登場してきた。

センサーの充実がデータ量をさらに増やす

 この“情報爆発”をさらに加速する要因が、スマートグリッドやスマートシティと呼ばれる新しい社会インフラ構築の本格化である。例えばスマートグリッドでは、スマートメーターと呼ばれる計量器を使うことで、これまで取得してこなかった利用状況を示すデータ収集し、より効率的なエネルギーの流通とCO2排出量の削減を目指す(関連記事:スマートグリッドで消費者もスマートに)。スマートメーターが取得するデータ量は、人手による検診と比べれば、桁違いに増える。

 スマートシティになると、そこで扱うデータの範囲さえ記者には想像が難しい。例えば「行きたい場所に、待ち時間なしで到着できるように案内する」といった構想の実現には、どんなデータと、それを処理する仕組みが必要になるだろうか。

 こうした未来都市図の実現を支えるのが、各種のセンサー。マイクロソフトが先に発売したジェスチャーコントローラーもセンサー活用の一例だ(関連記事:MSが身ぶり手ぶりで操作するコントローラー「Kinect」を国内発売)。

 ただセンサーといっても、特別な装置が必要なものばかりではない。日頃使っている携帯電話や自動車などもセンサーである。どこで何をしたかが分かるからだ。例えば携帯電話では、自動的に歩数や脈拍などを収集する健康管理サービスなどが始まっている。自動車ではカーナビなどを介して、アクセルやブレーキ、あるいはワイパーなどの操作状況などから、渋滞や事故が起こりやすい道を割り出したり、局所的な降雨を把握したりといったことが試行されている。

 また、ビデオ映像なども画像処理を施すことでセンサーの役目を果たす。長時間動いてない物体があることや、不自然な動きをしている物体の存在などを認識できるためだ。防犯カメラの映像も、これまでは何か事件が起こった後に、発生時の状況を知るための資料から、事件発生を知らせる探知機に変わる。こうした技術はすでに、エレベーター内の防犯用途などに役立っている。