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 「Ubuntu」(ウブンツ)と呼ばれるOSをご存知だろうか。Ubuntuとは、GUI環境を備えたクライアント向けOSである。

 ここで「OSである」と説明したが、厳密には「ディストリビューション」である。Ubuntuは、オープンソースのLinuxカーネルをベースにしている。Linuxカーネルは、誰もが無償で利用できる。

 Ubuntuもまた、無償で利用可能だ。個人に限らず企業も無償で使えるし、用途も問わない。しかも無償でありながら、OSとしての機能はWindowsにも引けを取らない。

Windowsから乗り換えられるほどの完成度

 筆者がLinuxを知ったのは、もう15年ほど前のことだ。書店でインストールCD付きのノウハウ本を見つけたのがきっかけである。このノウハウ本を購入して、当時使っていた日本IBMのディスプレイ一体型パソコン「Aptiva」にインストールした。

 ところが、Linuxは正常に起動しなかった。何度試しても、縦横に何本も走る赤や白、黄色などのラインが表示されるばかり。この時の経験があって、「Linuxは手に負えない」という印象を抱いてきた。

 それから時が過ぎ、ちょうど1年前に日経Linux編集部に異動した。最初に教えてもらったLinuxが、Ubuntuだった。15年前の経験があったため、まさに「チャレンジする」という気持ちでインストール作業に臨んだ。

 結果的に、インストールは拍子抜けするほどあっさり完了した。Linuxは15年に比べて、大きく進歩していたのだ。大げさでなく、心底驚いた。

 インストール作業は、Windowsと同じようにすべて自動化されている。OSのほかにも、メールやWebブラウザ、テキストエディタ、動画/音楽再生ソフト、オフィス文書作成ソフトといった主要なアプリケーションが、インストール途中で特に何かを指定することなくデフォルトでインストールされる。もちろん、インストールされるアプリケーションはすべて無償で利用できるものばかりだ。

写真●最新版「Ubuntu 10.10」のデスクトップ画面
写真●最新版「Ubuntu 10.10」のデスクトップ画面
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 インストール直後に再起動すると、Windowsと同じようなデスクトップがディスプレイの画面いっぱいに表示される。写真は、最新版「Ubuntu 10.10」のデスクトップ画面である。

 ご覧いただいて分かるように、Windowsと同じようなデスクトップである。そのデスクトップ上で各種アプリケーションを起動して利用する。Windowsを使い慣れた読者なら、Ubuntuの使い方で迷うことはないだろう。

 実際に使ってみると、Windowsより優れた点も多い。CPUの世代が古い、メモリー容量が少ないといった、低スペックのパソコンでも軽快に動作する。特にパソコンの起動時間は体感できるほどの差がある。

 Windowsユーザーとデータも共有できる。「doc」「xls」「ppt」といったWindowsで一般的なファイル形式のデータは、すべてUbuntuの標準アプリケーションで編集可能だ。WindowsでフォーマットしたHDDやUSBメモリーなども、Ubuntuで正常に読み書きできる。

 2004年4月に開発が始まったUbuntuは、当初からクライアントOSの用途をターゲットにしていた。Ubuntuの生みの親であるMark Shuttleworth氏は、「一般的なコンピュータユーザーがすぐに使える、自由で無償のOSを作ろう」と考え、Ubuntuの開発に着手したのである。Ubuntuが使いやすいのは、当たり前というわけだ。

問題は周辺機器との接続性や連携の弱さ

 OSも無償、アプリケーションも無償。しかも、使い勝手はWindows並み。サーバーOSとして普及してきたLinuxだが、Ubuntuが登場してクライアントOSとしても大きな注目を集めるようになった。Windowsでしか動作しないアプリケーションも、「Wine」というエミュレータソフトをインストールしておけば、Ubuntu上で動作する。

 もはやWindowsを捨てて、Ubuntuに完全に乗り換えることだってできるのではないか。こんな期待も膨らんでくる。

 だが残念ながら、完全に置き換えるレベルにはまだ達していない。ハードウエアとの接続性や連携で不具合が発生しやすいからだ。個人的にはiPhoneと連携できないことが、WindowsからUbuntuへの移行を阻む最大の障壁になっている。

 iPhoneとパソコンを連携させるには、米Appleが無償提供する「iTunes」が欠かせない。音楽データのやり取りだけならUbuntuの標準アプリケーション「Rhythmbox」で事足りる。だが、App Storeでアプリケーションを購入したり、購入したアプリケーションをバージョン管理したり、iPhone本体のファームウェアをアップデートしたりするには、iTunesが必要になる。

 ところが、iTunesはエミュレータソフトのWineを使ってもUbuntuでは正常に動作しない。インストールや起動は成功するのだが、音楽CDを挿入しても認識しない。iPhoneをつないでもやはり認識しなかった。App Storeにもアクセスできず、画面が真っ黒になってしまう。マウスでいろいろと操作しているうち、最後にはフリーズしてしまった。

 こうした状況も、Ubuntuの普及が進めば解消されることは間違いない。Webアクセスやメール、資料の作成といった一般的な用途であれば、Ubuntuで困ることはない。まずは使っていないマシンのOSとして、Ubuntuを試してみてはいかがだろうか。