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 クラウドコンピューティングに続き、スマートフォンやタブレットPCが大ブレークした。企業情報システムでも、どんどん使われ始めている。まあクラウドとユビキタスはコインの裏表なので、この流れは当たり前と言えば当たり前。ただ、既存のITベンダーにとって厄介なのは、クラウドブーム、スマートフォンブームに乗って、ニューフェースの企業が情報システムの分野に進出してきたことだろう。

 今や企業の情報システム部門にとって、iPhoneやiPad、それにAndroid端末を情報システムのクライアントとして活用するのが“旬”だ。関連セミナーも大流行のようで、先進事例を求めて、情報システム部門の長や技術者が押し掛ける。ようやく本格化したクラウド活用に加えて、“スマフォ”活用が来年前半のITトレンドになるのは間違いない。

 企業でスマフォの活用が進むのは、ある意味当たり前だ。なんせPCに比べて導入コストが安上がりだ。それに、情報システム部門がPCのWindowsのアップグレードしようとすると、皆「面倒くさい」と文句を言うが、スマフォ導入となると経営層も利用部門もニコニコである。利用部門には“スマフォの達人”みたいな人がいて、周りの人に使い方を教えてくれるから、教育コストも安く済む。

 というわけで、スマフォは企業にどんどん普及する。そして、ひょっとしたら従業員の個人所有のスマフォを企業情報システムのクライアントとして活用する時代が、予想よりも早くやって来るかもしれない。この前、2回にわたって「個人のパソコンが企業情報システムのクライアントになる日」という話を書いたが、コンシューマー分野でiPhoneやAndroid端末が爆発的に普及しつつある現状を考えると、このトレンドの加速は大いにあり得ることだ。

 もう一つ、余計なことを書いておくと、今よく議論されていることにパブリッククラウドとプライベートクラウドを連携させるハイブリッドクラウドの話があるが、それはサーバーサイドではなく、クライアントサイドで進むかもしれない。プライベートクラウドとパブリッククラウドをスマフォで使いこなす。それが企業のITガバナンスの崩壊を意味するのか、IT活用の新たな可能性を示すことなのか、まだ分からないが、来年はかなり“わくわく”する年となるだろう。

 さて、ITベンダーには新しいビジネスチャンスの到来のはずだが、そのチャンスをものにするのは、はたして既存のベンダーだろうか。クラウドの立ち上がり時期でもそうだったが、スマフォのプレーヤーには企業情報システムを担っていたベンダーとは異なる企業名が並ぶ。例えばアップルはその最たるもの。PC分野では一時期、企業向け市場からほとんど駆逐されかけたが、スマフォで舞い戻ってきた。そして、日本で“スマフォインテグレータ”として活躍する企業には、これまでは無名のベンチャー企業が多数含まれる。

 おそらく来年は、スマフォとクラウドの可能性が一気に開花して、様々な情報システムの試みが出てくるだろう。どんなものが登場するかを予想するのは困難だが、IT業界やユーザー企業のIT担当者にとって、久しぶりに相当面白い1年になりそうだ。ただ、トラディショナルなITベンダーが本当に愉快に過ごせるかどうかは、まだ確定していない。