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 2010年10月中旬、北海道の登別へ行った。NEC北海道販売店会秋季総会で講演をするためだ。午前10時半の飛行機で羽田を発ち、千歳空港から電車で登別駅に着いたのは午後2時前だった。あいにくの曇天で空が暗いため、もう夕方のように感じた。登別に降り立ってびっくりしたのは、ホームが平らでなく大きく波打っていたことだ。デコボコしている、といったかわいいものではない。どうしてこんな状態で放っておくのだろうといぶかしんだ。登別と言えば有名な温泉地だが、駅はひどくさびれていた。

 駅から乗ったタクシーの運転手に聞くと、温泉客の多くは観光バスやクルマで来るので駅は利用が少ないのだという。温泉街はにぎわっているらしい。たしかに、到着したホテルは団体客でいっぱいだった。3時間の総会のうち、筆者の講演が1時間半なので責任は重大だ。販売店の社長や役員の方が多いのだが、皆さん、何度も笑ってくれたのでホッとした。

 さて、今回はネットワーク設計・構築プロジェクトがどうすれば成功するのか、プロジェクト管理の在り方について述べたい。表題は、日経BP社の人気書籍シリーズの名前を真似てつけてみた。

「予防的」プロジェクト管理をすべし

 11月初め、品質管理を担当するマネージャーから、筆者が責任者を務めたプロジェクトが提案から設計構築までとてもうまくいったように見える、なぜ成功したのかヒアリングさせてほしい、と依頼があった。コンペのとき、他社が9カ月といった長い線表で提案したのに対し、ほぼ半分の5カ月で提案して受注。そのスケジュールできちんと完成させたことに、関心を持ったらしい。そこで、プロジェクトの主要メンバーを集めてどんなことをやったのか説明した。その要点を書こうと思う。

 別に特別なことをしたわけではなく当たり前のことをしただけだ。ただ、特別と言えば、筆者にとってNTTデータからNECに転社して初めて提案から設計・構築まで責任者として陣頭に立ったプロジェクトであったことだ。絶対成功させてやる、と意気込んでいたのだが、NECグループの人材はどうだろうか、組織として仕事がうまく回るのだろうか、と心配しながら確かめながらプロジェクトを遂行した。結果から言えば大成功で、トラブルらしいトラブルもなく、100拠点を超える移行工事をしたものの切り戻しはゼロだった。宣伝めいた書き方は慎むべきなのだが「NECはやれる」と確信した。今ではどんな大規模な仕事でも受けて立つ自信がある。

 プロジェクトの成功は何で決まるのか、一言で言えと問われれば「プロジェクトの成否はメンバーで決まる」と答える。これが土台にある。しかし、それだけでは不十分で、プロジェクト管理の在り方で同じメンバーでも結果は大きく違ってくる。ポイントは以下の三つだ。

  1. 対症的プロジェクト管理でなく、予防的プロジェクト管理をすること
  2. 設計品質だけでなく、作業品質の向上を図ること
  3. プロジェクト全員が共通の目標を持つこと

 プロジェクト管理の目的はQ(Quality)、C(Cost)、D(Delivery)、つまり、品質・コスト・納期を守ってネットワークやシステムを完成させることだ。そのためには対症的プロジェクト管理であってはならず、予防的でなければならない。対症的とは発生した問題に対処しつつプロジェクトを進めるやり方であり、予防的とは問題の発生を予防する進め方だ。対症的プロジェクト管理の典型は「進捗率」中心に管理するやり方だ。定期的に進捗率をチェックし、予定より遅れていると原因を調べ対処する。進捗率が悪くなった時点で既に問題は発生している。進捗率を見ていて分かるのは問題が起こったということであり、問題発生の予防はできない。