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 これまでSE(システムエンジニア)が長年抱えている受け身意識や技術偏重、SEの“モノ扱い”など問題を解決するには、「SE自身が顧客とビジネスに強くなりSEをモノ扱いするビジネスのやり方や、横暴な営業担当者と闘うしかない」と述べた。そして前回は、筆者がなぜそう考えたか、顧客をつかむために日ごろ何を行ったかについて説明した。

 今回はその結果、モノ扱いのビジネスのやり方や営業とどう闘うことができたか、そしてどうなったか、それについて説明する。

顧客をつかめばそのプラスは大きい

 前回述べたことについて読者のコメントを見ると、読者のなかには「昔の古い話だ。今は当時とは時代が違う。何を言っているのか」と思っているSEの方もいるようだ。たぶん、若いSEの方だと思う。

 だが筆者の考えでは、顧客がSEに期待する点や顧客が信頼するSEの姿は、今も昔も変わっていない。これは時代が変わっても普遍的である。筆者はそう考えている。

 いずれにしても筆者はSE時代に顧客の信頼を得て顧客をつかむために、前回述べたことを行なった。その結果、いろんなプラスがあった。

 まず、何といってもシステム開発などがうまく行った。その大きな理由は顧客の担当者はもちろんだが、部課長にもプロジェクトにかかわるいろんな問題を忌憚(きたん)なく話すことができ、進め方などについての前向きな討議や、問題に対しての適切な対策を講じることができたからである。また、販売・提案面では多くのお客様で、次のようなことを結構知ることができた。

1. お客様がどんな問題を抱えているか
2. お客様が次にどんなシステムの開発を考えているか
3. その予算は大体どのくらいか
4. どんなシステムの提案が良いか
5. 成約に向けてどんな問題点があるか
6. 競合他社にも提案を要請しているか
7. 競合他社の提案状況や顧客の評価はどうか
8. 自社の提案システムの成約の可能性はどうか
などなどだ。

 また日頃の営業や会社に対する評価やクレームなども聞けば教えていただけた。それは顧客にとってSEという技術屋は仲間だという意識があり、営業には話さないことでも聞けば話してもらえたからである。そんな情報は販売・提案活動にものすごく役立った。そのうえ、お客様から聞いた情報を基に、この顧客に今後どの程度のビジネスポテンシャルがあるか、次年度はどうか、競合他社に狙われているかなども推測もできた。

 そして知り得た情報を、日頃意識して営業や営業のマネジャーと話したり、販売戦略会議などで「売るのにはこう攻めた方が良い。誰々さんがこう言われた。それでは買ってもらえないかも」などと言ったりすると、「馬場はビジネスに強い。我々は助かる」とだんだん評されるようになった。そうなると社内で営業と闘うのが難しくなくなった。営業がSEを“モノ扱い”する売り方にブレーキもかけることもできた。