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 さらに日本では知名度が今ひとつだが、「Yammer」も要注目と考えている。2008年9月に始まったサービスで、現在の利用者は全世界で9万社に上る。最初から企業向けを志向しており、ドメインを限定したアクセス制御が可能。さらに月額5ドルからの有料版では、パスワード管理やシングルサインオンなど、企業利用を念頭に置いた管理機能も提供する。

 今、B2C企業を中心に、顧客との関係強化にソーシャル系サービスを使う動きが広がっている。Twitterを使ったプロモーションや、Facebookに企業の「公式ファンページ」を開設する動きが代表例だ。顧客との間をソーシャル技術が取り持つようになるとともに、企業内のコラボレーションにもソーシャルが入り込む。やがては企業内外という壁がなくなり、ソーシャル技術で取り込んだ顧客データを、社内でもソーシャル技術で共有・活用するようになる──。ソーシャル系が主体のフリーミアムサービスは、こうした情報化を後押しする、一つの要因になるのではないだろうか。

「フリーミアムインテグレーター」が台頭する

 もう一つの私見は、フリーミアムサービスに加えて、フリーミアムの導入・活用を支援するITベンダーが増える、というものだ。フリーミアムそのもので勝負するのではなく、周辺の付加価値サービスを開拓する事業者(フリーミアムインテグレーター)が増えるのではないかとみている。

 先の大野氏は、「ITベンダーにとっては、フリーミアムの潮流は苦しい面もあるがチャンスでもある」と述べる。コモディティなアプリケーション分野は、収益を上げるのがどんどん難しくなるが、フリーミアムをうまく活用すれば、新しいビジネスチャンスを開拓できる可能性がある」。

 書籍「フリー」では、以下のように述べている。

 フリーと競争するには、潤沢なものを素通りしてその近くで希少なものを見つけることだ。ソフトウェアが無料なら、サポートを売る。電話が無料なら、遠くの労働力と能力をその無料電話を使って届ける。
<中略>
 まだコモディティ化されていない上流にのぼって行って、人間が直接かかわる必要のある、より複雑な問題解決に挑めばいい。

 フリーミアムは、クラウドが情報化の前提となったことの象徴だ。今後、企業の情報化をどう変えていくのか、個人的にも興味が尽きない。