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 日経コンピュータ2月17日号で、「スマホで千客万来」という特集を執筆した。記事では、スマートフォンや携帯電話を使った販売促進策に取り組む企業の事例を紹介した。ワタミフードサービスや良品計画、日本マクドナルドなど20社弱の企業を取り上げた。

 ご承知のとおり、企業システムは事務処理を効率化するだけの道具から、ビジネスを拡大する切り札としての役割を担うようになってきた。その最先端事例が、モバイル端末を使ったマーケティング施策にあるといえるだろう。本特集はこうした考えに基づいて企画した。

 特集の取材では、ユーザー企業だけでなく、モバイルマーケティングの支援サービスを提供するベンダー企業にも取材した。興味深かったのは、企業が無料で使えるサービスが複数あったこと。誌面には限りがあるので、すべてを取り上げることができなかったのだが、この場を借りて紹介したい。

無料で利用できるCRMシステム

 1つめは、飲食・小売業向けのASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)サービスである「mobion3S」だ。飲食・小売業が携帯電話を使った販促やCRM(顧客関係管理)を実施するための機能を持つ。具体的には、携帯サイトの開設と運営、携帯電話へのメールマガジン配信、会員顧客向けのクーポン券の発行、クーポンの利用状況の分析などである。携帯電話向けWebサイトの構築を手掛けるGNTが提供しており、飲食業のロッテリアやなか卯、大庄など約100社が利用している。

 GNTが本格的に「mobion3S」の事業展開を始めたのは2009年9月。約1年半ほどで利用企業を100社まで拡大できたのは、利用料が無料であることだ。

 なぜ無料で提供できるのか。その理由は、企業が獲得した顧客会員を、そのままGNTが運営するSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の「mobion」の会員にするためである。GNTはmobion上での有料コンテンツ提供や通販、広告などで会員から収益を上げる。

 つまり、利用企業は無料でmobion3Sを使う代わりに、GNTのSNSの会員獲得を手伝うというわけだ。mobion3Sの利用企業にとって、mobionの会員以外から自社の携帯サイトを見つけづらくなるというデメリットはあるものの、費用をかけずに携帯電話向けの販促を実施したい企業には検討の余地があるだろう。

掲載料なしの割引クーポンサイト

 2つめは、携帯電話向けのグルメサイト「食べタイム」だ。ベネフィット・ワンというベンチャー企業が2008年から開始した。同サイトはサイト上で紹介する飲食店から掲載料や手数料を徴収しない。掲載する飲食店は、掲載料がかからない分、顧客サービスを充実させることができる。例えば、「フード全品50%引き」といった大幅な値引きクーポンを発行することで、高い集客効果を見込む。

 ベネフィット・ワンは、食べタイムの利用者から月額300円程度の料金を徴収することで利益を得る。大手グルメサイトはすべて無料で閲覧できるが、「月額料を支払っても、クーポンの値引き幅が大きいので、月に1度利用してもらえば元を取っていただける」とベネフィット・ワンの白石徳生社長は話す。

 利用者が料金を負担するビジネスモデルを採用したのは、同社のベネフィット・ワンの主力事業である福利厚生のアウトソーシングに由来している。同社は旅行パッケージやホテル、英会話スクール、フィットネスクラブなどを割引する「ベネフィット・ステーション」という福利厚生サービスを企業向けに提供している。ベネフィット・ステーションのメニューの一つを、個人向けに開放したのが食べタイムなのである。

特売情報を無料で掲載

 3つめは、スーパーの特売情報を掲載する携帯サイト「シュフモ」と「毎日特売」である。サイトの会員には、スーパーや小売店の特売情報をまとめて毎日メールで送信する。シュフモはサンケイリビング新聞社、ニフティ、三菱商事の3社が、毎日特売はベンチャー企業のナビットが運営している。

 これらのサイトも掲載企業から掲載料や手数料を取らない。両サイトの収入源は主にサイト上に掲載する広告であるためだ。これらのサイトに登録すれば、自社でWebチラシを公開したり、特売情報をメールで配信したりするコストを抑制できる。毎日特売は特売情報を配信したいスーパーを常時募集している。シュフモは、掲載依頼を受けた場合に個別に判断する。

 両サイトでは、特売情報を「アメリカ産 豚ヒレ ブロック 100g 98円」といったテキストデータとして掲載している点も特徴的だ。スーパーから直接データを提供してもらうだけでなく、入力担当者を雇って特売情報をサイトに打ち込んでいる。これにより、全国や特定地域のスーパーで価格比較をすることが可能になる。