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 東日本大震災による原子力発電所の停止などにより、今夏に向けての節電対策が求められている。しかし、単純な消灯や空調温度の設定変更といった“我慢”を強いる策だけでは、生産性の低下を招きかねない。

 そこで期待されるのが、ITを使った“スマート節電”だ。震災時の安否確認や救援物資の配布などでITは大きく貢献できた。発電量不足を始め、エネルギー戦略そのものが見直される中、ITはもっと大きな貢献ができるのではないか。IT技術者は、エネルギー指向で物事を見つめ直し、新たな解を提示したい。

計画停電で電気の仕組みが色々分かった

 3月11日の地震発生から1カ月半が過ぎた。今も余震が続き、被災した福島第一原子力発電所の問題も依然として予断を許さない。そうした中で改めて意識付けられたのが、我々の生活がいかに電力(エネルギー)に依存しているかだろう。節電対策として各所で照明や空調などが消されていることで、電気という存在の大きさを体感できる。

 4月に入り、気温が上がって日照時間が伸びてきたことに加え、企業や家庭における節電効果もあり、計画停電は実施されなくなった。しかし、冷房用の電力需要が高まる夏に向けては、火力発電の増強などで電力供給量を増やしても、1000万キロワット前後の電力が不足するとの見方もある。電力使用量を15%減らす電力需給対策案の検討が続いている。一般家庭にも削減目標が掲げられるという。

 それに向け、種々の節電対策が取られ始めている。一部消灯や温水利用の中止、空調温度の設定変更、営業時間の短縮などだ。複数台あるエスカレーターやエレベーターの一部運用を停止するケースもある。こまめな消灯や、未使用機器をコンセントから外すといった取り組みも奨励されている。

 一方で、節電が経済活動に及ぼす影響も心配され始めた。明かりが消えた街の人出はまばらになり、消費は縮小・停滞している。工場の稼働率はもちろん、オフィスでも従業員にそれ相応の我慢を強いるだけに、企業の生産性は下がる。「贅沢は敵だ」ではないが、「電気を使うことは“悪”」といった風潮も見られないわけでもない。しかし、我慢を前提とした取り組みは長続きしないし、定着もしないだろう。

節電をただの節電で終わらせない

 我慢を最小限に抑え、より“スマート”な節電の実現に向けて期待されるのがITの活用だ。人手による消し忘れを防止したり、より状況に合わせた設定に自動調整したりすることで、我慢を最小限に抑えると同時に、電力消費量も最小にする。

 そうした中、省エネ問題に取り組んできた「東大グリーンICTプロジェクト」が4月1日、「事業所における節電対策」を公表した。東京大学での実践例に基づく節電施策を、短期的なものと、中長期的なものとに分けてまとめてある。

 一般に、全電力使用量の約4割を事業所が占め、オフィス環境における電力使用量では、照明が4割、コンセントが3割強、空調が3割弱をそれぞれ占める。東大グリーンICTプロジェクトが挙げる短期的な節電策は、より消費電力が高い分野に向けた対策になる。

 具体的には、電力使用量のリアルタイムの見える化や、サーバーの仮想化・集約化、クライアントPCの動作モードの管理のほか、高効率照明への切り替えやガス空調の利用などが挙がっている。中長期的には、これらの自動管理・自動制御を推奨する。