業界の先を読むICT千里眼
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大震災から3年を機に思う、ICTの「ニーズ」と「ウォンツ」
東日本大震災から3年がたとうとしている。毎年この話題に触れているが、いまだ被災地に通う一人として、いよいよ「試される時期」がやってきた、と身構えている。震災直後から「最初の区切りは3年」という声が、財務当局を中心にささやかれていたからだ。
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CESで垣間見た、パソコンの「終わりの始まり」
私事で恐縮だが、年始早々、腰を痛めた。ちょうど米国ラスベガスで開催された「2014 International CES」への出発当日に痛みがピークを迎え、長時間のフライトに耐えられないと判断。今回は参加を見送った。
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2014年は「将来に向けた仕込みの年」に
2014年はどんな年になるのか。毎年この時期になると、多くの取引先からこうした問いかけをいただく。しかし今回は、納得いただけるような答えを導き出すのが正直難しい。
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混乱する「XPサポート終了」問題、それでも移行すべきだ
来春の2014年4月9日で、Windows XPとOffice 2003のサポートが終了する。まだ先のことと思っていたが、気がつけばあと5カ月しかない。私の周囲でも少しずつだが、「渋々ながらWindows 7に移行しました」という声が聞こえてくる。Windows 8のアップデートが進む中、随分遅い…
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パーソナルデータの制度整備、論点は「責任主体」に
パーソナルデータに関する法整備の検討が急ピッチで進んでいる。 内閣官房のIT総合戦略本部の下に設けられた「パーソナルデータに関する検討会」(座長:堀部政男一橋大学名誉教授)は9月2日、第1回の会合を開催した。その子会である技術検討ワーキンググループ(WG)を含め、会合は本稿執筆時点で既に4回開かれ…
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ネット大衆化にともなって「免許」が必要になるか
小売店や飲食店の従業員が、店舗内の冷蔵庫や食品で悪ふざけをした写真をTwitterなどで公開し、炎上する─。今夏のネットをにぎわした残念な事件だった。その背景には、知的水準の階層化といった社会構造的問題も横たわっているだろう。そうした論考は社会学者に任せるとして、気になるのは、問題を起こした人と糾…
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米国で揺れる固定電話の将来、日本も同じだ
固定電話の将来を巡って、米国で議論が続いている。きっかけは、米ベライゾン・コミュニケーションズの提案だ。2012年秋のハリケーン・サンディで大きな被害を受けたニューヨーク州の一部で、固定電話サービスを独占的に提供していた同社が、今後は携帯通信サービスだけを提供したい、と同州公共サービス委員会に申請…
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大都市圏と地方部、スマホ普及格差の本当の理由
総務省が2013年7月16日に公表した平成25年版情報通信白書に、「端末別インターネット利用率」というデータが記載されている。日本におけるパソコンの利用率が97.7%、スマートフォンが38.2%、フィーチャーフォン/PHSが16.5%などとなっている(複数回答)。
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政府の本気度が見えた、安倍内閣「IT戦略」
第2次安倍内閣におけるIT戦略である「世界最先端IT国家創造宣言」が、6月14日に閣議決定された。既に内容は公開され、工程表の検討も進んでおり、ご覧になった方も多いだろう。私自身も、いくつか内容の検討をお手伝いしたこともあり、今回のIT戦略は従来以上に関心を持っていた。そうした立場で改めて読んでみ…
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スループットの誇張広告に見る通信サービスの未成熟
「この回線、スピードはどれくらい出る?」─。以前はADSLで、最近ではLTEで、しばしば耳にする話題である。果たして、私たちが利用している回線サービスは、実際はどの程度のスループットなのだろうか。九州大学・実積寿也教授が、固定網を対象に実施した調査によると、広告表示されているスループットに比べ、F…
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マーケティングが機能しなくなった通信産業
通信産業において、マーケティングとは何か。マーケティングという言葉を「顧客や市場を理解し、事業に反映させること」と定義すると、通信産業では、回線サービスのパッケージングとその料金プランが表現形態となる。
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情報革命をけん引する「智民」への道は険しい、前段階の「知民」、そして残念な存在としての「痴民」
少し前、経済産業省と当社で進めているプロジェクトの一環で、公文俊平先生(多摩大学情報社会学研究所所長)を訪ねた。言わずと知れた社会システム論の大家である。情報社会論に関する公文先生の論考は、近著「情報社会のいま あたらしい智民たちへ」を一読いただきたい。今回、公文先生からうかがったのは、先の著書で…
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今からでも遅くはない情報通信による復興支援、潜在化しているニーズの本質を見定める
東日本大震災から2年がたとうとしている。政権は変わり、円安に伴う株価上昇もあって、巷では景気のいい話もちらほら聞こえる。ただ残念なことに、被災地に対する関心は薄れている。被災地に足を運ぶ人の減少や、復旧・復興に関わる人の固定化が進んでいるように感じる。
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サービスや端末に合わせ網を最適化する時代に、バラバラに管理するのはもはや限界か
NHN Japanによる無料音声サービスとしてスタートした「LINE」が1月半ばに1億人を突破した。当初は、モバイルインフラ逼迫の主要な原因の一つと見なされるなどしていたが、それでも結果として、利用者の支持を急速に集めて今日に至っている。こうなると通信事業者もその存在を無視できないだろう。
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トンネル崩落事故と通信障害の奇妙な相似、インフラの現状を把握できていない状況が招いた
去る2012年12月2日、中央自動車道笹子トンネルの天井が崩落するという事故が起こった。この事故をきっかけに、日本各地の社会インフラの老朽化に関する議論が広がっている。筆者がこの問題を強く意識するのは、トンネルや道路への不安そのものが理由ではない。通信産業に関わる人間として、率直に既視感を覚えたか…
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2013年に通信業界は「停滞」に直面、フィーチャーフォンへの一時的な回帰も
毎年この時期になると「来年の通信業界はどうなりますか?」と尋ねられる。実際に予算計画などの参考にする方もいると聞かされ、最近は夏が終わったころからじっくり考えるようになった。携帯電話市場に限っても、すべてを見通せるものではない。ただ、あえて一言で表すなら、残念だが「停滞」という時期を迎える予感がす…
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今だからこそ理解と実践が求められる「プライバシー・バイ・デザイン」
プライバシー・バイ・デザインを、ご存知だろうか。情報プライバシーやセキュリティに関心のある方なら、「ああ、あれね」と反応されるかもしれない。最近は、総務省が取りまとめた「スマートフォン プライバシー イニシアティブ」の基本原則の中にも採用され、日本でも関心が高まっている。
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日本家電メーカー苦境の本当の理由、テレビ偏重も実は「裸の王様」だった
シャープの苦境が連日伝えられている。パナソニックやソニーも大規模なリストラ策が報じられている。NECも見通しは厳しさを増している。こうしたメーカーが苦境に陥ることは、通信・放送業界で仕事をしている私自身の仕事にも影響が出る。しかしそれ以上に一消費者として、残念という思いが強い。
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情報セキュリティと国家のセキュリティは不可分、サイバー戦争に日本政府が打つ手は?
このところ、セキュリティ界隈が騒がしい---。本コラムでこう書き出すと、情報の機密性を確保する「情報セキュリティ」と思われるかもしれない。だが、意図しているのは最近世間を騒がせた、韓国大統領による竹島訪問や香港の人権活動家による尖閣諸島への上陸など、国家安全保障を示す「ナショナルセキュリティ」の分…
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高くてもよく売れるアプリの不思議、「高い商品を買う自分が好き」?
このところ、日本企業の海外市場への進出についての相談が増えている。先日も、とある有名アプリ事業者の方とアジア地域への進出について話した。ここで、担当者は「調べれば調べるほど市場が一層分からなくなってくる」と悩んでいた。