業界の先を読むICT千里眼
目次
-
興味はないが、換金容易な安定資産?日本の通信事業者は“金の延べ棒”
先日、ある外資系投資銀行が韓国で開催したアジア・太平洋の機関投資家向けセミナーで、日本の通信産業について講演した。主にモバイル分野の国内動向に関して説明したのだが、開始当初は100人程度はいた参加者が、1人消え、2人消え、終わる頃には半分弱しか残っていなかった。
-
「World IPv6 Launch」に向け混乱は歓迎、固定網だけでなく携帯網でも課題の洗い出しを
先日、IPv6オペレーションズフォーラムという、インターネットの運用技術者が集う会合で、「LTE(Long Term Evolution)とIPv6」に関する講演を行った。ひとしきり質疑を終えた後に、昨今のIPv6普及を巡る「混乱」について、来場者からコメントを求められた。
-
2012年いよいよグローバル化元年か、曲がり角にある日本の通信産業
少し前から通信事業者の「グローバル調達」について意見を求められることが増えてきた。端末の話に限らず、インフラ側の通信機器も含めてだ。これまで日本の通信市場では、日本ベンダーの製品の優位性が揺るがなかった。それが、ここにきて海外ベンダーの勢いが増している。
-
目指すべきはむしろ「スモールデータ」、必要ないデータはそぎ落とす
そろそろ“ビッグデータ”という言葉を使うのをやめようと思っているんです---。ビッグデータの活用で成果を挙げていると言われる、ある企業の経営者との雑談で飛び出した発言だ。直接の理由は、「ビッグデータ」という言葉のバズワード化が目に余るようになってきたこと。本来のビッグデータ利用と関係のない問い合わ…
-
今だからこそ考えたい東日本大震災の教訓、情報流通にみる報道と現実のギャップ
東日本大震災から1年が経過した。2万人近い命が奪われ、いまなお避難生活を余儀なくされる方々は数多い。今回の震災は、情報通信産業にも大きな課題を投げかけた。NTTの局舎が建物ごと津波に飲み込まれることなど、業界に従事する者として、今なお事態を受け入れられずにいる。
-
スマートテレビ競争の鍵は〈技術〉にあらず、トータルなシステムの〈連携〉こそ重要
年明け早々、米国ラスベガスで開催された2012 International CESに参加してきた。今回も多くの新製品が発表されたが、その中で今回の主役はスマートテレビだった。CESはもともと家電製品の展示会であり、スマートテレビは王道と言っていいだろう。
-
スマートフォンが開けた「パンドラの箱」、従来型携帯とのギャップ、プライバシー問題…
2011年の通信業界は、スマートフォン一色だった。近年ガラパゴスと揶揄され続けてきた日本だったが、その日本を含めここまで世界的に産業動向の足並みがそろったのは、近年稀なことだ。2012年もこのトレンドは変わらないだろう。いくつかの予測では、2012年から13年にかけて、世界全体でスマートフォンの総…
-
リスクも内包するビッグデータ、目的の明確化と粘り強い分析が必要に
ビッグデータに関する問い合わせが、このところ相次いでいる。そもそもどんな代物なのか、どう使いこなせばいいのか、といった具合だ。共通するのは、「この波に乗り遅れてはならない」という焦燥感だろうか。一方でデータさえ大量に集めておけば、いずれビジネスに役立つのではないか、というような幻想も見え隠れする。
-
アフリカで痛感した日本勢の存在感の薄さ、もっとビジネス面でアピールを
国際標準化の会議に参加するため、ケニア・ナイロビに来ている。赤道直下に位置するものの標高が高く、年間を通じて過ごしやすい気候である。またコモンウェルス(イギリス連邦)の一員だけあって、英語も普通に通じ、英国流の洗練された社会インフラ整備がなされている。
-
ほころぶネット、情報流通を揺るがす偽SSL証明書問題
オランダのSSL認証局「DigiNotar」が不正アクセスを受け、その結果として偽SSL証明書を発行していた事件が発覚した。しかも本件に関連して、「*.google.com」などの著名なサイトをはじめ、政府機関や一般のサイトまで、分かっている限りで500以上の偽証明書が発行されたもようだ。
-
スマホのトラフィック爆発に悩む携帯事業者、自らが原因で苦しむ構図に違和感
米国において、スマートフォン浸透による定額制料金の崩壊が話題を呼んでいる。米AT&Tに続き、最大手の米ベライゾン・ワイヤレスも従量制料金の導入に踏み切り、大手各社がギブアップした状態となった。こうなると日本でも定額制が終焉するのかという点が気になってくる。
-
本格普及は2015年頃か、TD-LTEのエコシステム作りに注目
TD-LTEへの関心の対象は多様だが、端的には、「果たしてTD-LTEはブレイクするのか?」の一言に尽きる。TD-LTEの未来について、筆者自身は特に決まったスタンスを持っていない。一般論として、TDD自体は興味深い技術であり、多様な将来像があり得ると考えている。ただ、昨今のTD-LTEに対する業…
-
成長を描けなくなった通信市場、このままゼロサムゲームに突入か
このところ、通信業界に不穏な気配が漂っている。例えば去る5月13日、米国格付け機関大手のムーディーズが、NTTおよびNTTドコモの長期債務をネガティブに見直すと発表した。国内企業最高益を弾き出した企業を格下げするという不可解な事態に、筆者自身は同意できない。
-
マイクロソフトのスカイプ買収の真意を読む、音声サービスの将来を見据えた動きか
米マイクロソフトがルクセンブルクのスカイプの買収を発表した。事前に予想されていなかったことや、85億ドルと高額だったこともあり「何が目的なのか」といぶかしむ向きも見られた。Outlookなどのコミュニケーションツールや家庭用ゲーム機のXboxへのバンドルなども指摘されている。確かに、真意は分かりづ…
-
東日本大震災で痛感した通信の重要性、緊急連絡手段の確保に課題も
今回の大震災は、通信産業にとっても大きな試練となった。壊れない建物の代名詞だったNTT局舎を飲み込む津波が、東北・関東の太平洋側に押し寄せたのだ。一方で、ケータイが広く定着してから初めて起きた大規模災害は、改めて通信の重要性を痛感させた。いかに私たちがケータイに身体的かつ精神的に依存していたか、改…
-
「課題あれば商機あり」、日本はもうガラパゴスではない?
2011年のモバイル関連展示会「Mobile World Congress」は、ここ数年で一番面白かった。リーマンショック直後で停滞した2009年、次世代無線通信規格の本命がLTEにそろったものの端末やサービスが追いついていなかった2010年に比べ、今年は「LTE、クラウド、スマートフォン、アプリ…