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 これまで数回にわたって、SEの販売・提案活動に関することを書いた。現役時代からずっと、日本の「SEのあり方」と企業の「SEの扱い方」に強い疑問を感じていたからである。

 事実、現在も多くのSEが「営業とSEの関係」で悩んでいる。特にSEが販売・提案活動に参画した時の悩みは大きい。筆者の時代もそうだったが、現在もSEからその類のグチを結構聞く。例えば「営業は売ればよいと思っているからSEがシステム開発で苦労する」とか「営業は技術が分かっていないから後でSEが困る」といった話だ。中には「実際は我々SEが売っているのに、営業はいい格好ばかりする」と言うSEさえいる。

 このような声が出てくるのは、きっとSEと営業との関係がうまくいっていないからだと思う。IT企業にとっては深刻な問題である。生産性が下がるし、下手をするとお客様に迷惑をかけかねない。以下、読者の方への問題提起も含め、「SEと営業との関係」について述べていきたい。

「営業はそんなことも知らないのか」とSEは怒る

 IT企業では、営業担当者とSEは車の両輪である。両者の役割は違っても、お互い助け合い、カバーし合いながら販売・提案活動をやればビジネスはうまくいく。

 だが、チームワークよく、しっかり仕事をしている営業担当者とSEは残念ながら少数派だ。どこのIT企業でも、営業担当者とSEはお互いの考え方や仕事のやり方が噛み合わなくてギクシャクする。そういう下地があると、何かのきっかけで両者はすぐ揉める。例えば、営業担当者が販売・提案時に「○○をやってほしい」とSEに頼んでも、SEが満足にやってくれないことがある。すると営業担当者は「なぜSEはこうなんだ。何を考えているのか。SEはビジネス意識がない」などと毒づく。

 一方、SEは営業担当者から「これを頼む」と言われると、「何でそんなことをSEにやらせるのか。売るのは営業の仕事ではないか」と陰で文句を言う。頼まれた作業内容にしても、「営業はそんなことも知らないのか。だからSEが後で苦労するんだ」などと内心不満を持つ。SEマネジャーの中にも、営業担当者から仕事を頼まれた時、「SEにそんな余裕はない」と即座に断ったり、「その程度のことは営業がやれ」と突っぱねたりする人がいる。

 それやこれやで、営業担当者がSEに仕事を頼む時は結構揉めるものだ。読者のみなさんも会社でそんな風景を見かけるのではないか。しかし、営業担当者は、SEが協力してくれないことには顧客に提案できない。顧客からの技術的な質問にも答えられない。それでは困るのである。

営業からの「やらされ仕事」に被害者意識も

 そこで営業担当者はいろいろとSEやSEマネジャーと交渉するわけだが、その挙句、SEが協力してくれないとなると、話はさらにこじれる。営業担当者は営業課長や部長に助けを求め、上司のOKをもらうと、SEマネジャーにねじ込んで、力ずくでSEにその仕事をやらせる。

 するとSEマネジャーやSEは、仕方なく「やらされ意識」でその仕事をやる。当然のことながら、前向きな姿勢ではない。被害者意識すら持つだろう。こんな気持ちでは、技術力を発揮した良い仕事はできない。

 ざっと述べたが、これが営業担当者とSEが一緒に仕事をする時、よく起こる対立の構図だ。昨日今日の話ではなく、何十年も前からずっと続いている、根の深い問題である。筆者は、これは「どっちもどっち」だと思っている。

 なお、SEの中には「営業の言いなりになるSE」や「営業に迎合しているSE」もいる。それもまた営業とSEの関係がうまく行っているとは言えない。