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 題名を見て、「ITpro編集部は暑さのあまり、間違った記事を掲載したのではないか」と心配した読者がおられるかもしれないが、大丈夫である。

 『注文の多い酒宴』とは、あの有名な童話の題名をもじったもので、酒宴とは「シンポジウム」を指す。シンポジウムとは「酒宴」「饗宴」という意味であり、本来は酒を出さないといけないのだが、現代では難しい。

 ここまで読まれて、「編集部はともかく、筆者は大丈夫なのか」と懸念された読者がおられるかもしれないが、大丈夫である。一般論として、自分で自分のことを大丈夫と言い張る人ほど大丈夫ではないことが多いが、とにかく大丈夫である。

 『注文の多いシンポジウム』は、今年2月に筆者が書いたメールの中に出てくる言葉なので、そのメールを再掲する。

「ユーザー主体開発対話集会0202」結果報告

「シンポジウム システムイニシアティブ2011 今こそユーザー主体開発」に参加を申し込まれた皆様

 当シンポジウムを企画し、司会を担当した谷島(やじま)と申します。日経BP社で編集委員をしております。

 皆様にお申し込み頂いたシンポジウムは2月2日水曜日午後1時半、満席で始まり、予定していた終了時刻6時30分を多少過ぎましたが、なんとか無事に終了しました。皆様にお礼を申し上げるとともに、簡単な結果報告をさせて頂きます。

 利用企業が主導して必要な情報システムを用意する「ユーザー主体開発」について、参加者が対話する。このシンポジウムの狙いは無事達成できました。

 実は企画段階で『ユーザー主体開発対話集会』という名称を提案したのですが、関係者の賛同がまったく得られず、「シンポジウム(談話会)」という名称に落ち着いたという経緯がありました。

 なぜ対話にこだわったかと申しますと、「ユーザー主体開発」のような、現状を変える取り組みを進めるには、セミナーに参加して情報を集めるだけではなく、何か行動を起こすことが大事と考えたからです。対話は行動の第一歩です。

 こう考えたものの、正直言いまして、初めてお集まり頂いた方々に話し合ってもらえるのかどうか、懸念しておりました。公の場で質問や発言をほとんどしないという我が国の悪しき伝統(?)があるからです。

 そこで皆様の座る席を対話がしやすい「島」の形に最初から配置しました。会場に入るなり、「これでは途中で帰りにくいな」と話していた方もおられましたが、わざと帰りにくくしたのです。

 さらに当日会場でお話した通り、今回は『注文の多いシンポジウム』ということで、「周囲の人と名刺交換して対話して下さい」「積極的な質問や意見発表をお願いします」といったアナウンスをしつこく流し、五つの講演のすべてについて質疑応答を実施して、最後の90分間に皆様が話しやすい雰囲気を作るようにしてみました。

 司会者が「途中で帰っては駄目だ」「質問をしないとこちらから当てる」などと再三発言したため、本当に話しやすかったかどうかはよく分かりませんが、かなりの方々が定刻の6時30分を過ぎても対話を続けて下さりました。改めてお礼を申し上げます。

 さて肝心のシンポジウムの内容です。ユーザー主体開発の利点について、登壇者の方々から様々な経験に基づく指摘がありました。お集まりになった方々からもこの方向については異論は無かったと思います。

 ただし、経営者や事業責任者が情報システム利活用にもっと関心を持つことが大事という意見が出ました。

 また、基調講演者と事例講演者がそれぞれ、「コンピュータ専門誌はシステムを作ることしか報道しない」「日本のメディアはソフトウエアというものをまったく理解していない」と発言され、当事者としてやや困りましたが、今後の課題にしたいと思います。

 ユーザー主体開発をどう進めるのか、といった点については色々な意見が出ました。五つの講演と質疑応答を聞いた私の感想をまとめますと「欲しい情報を得るために欲しいシステムを欲しい時期に用意するには、企業の情報(データ)をあらかじめ整理しておくしかない」というものです。

 データ中心アプローチが提唱されてから30年近く経つのでしょうか。成果を挙げている企業は昔からありますし、取り組んだものの挫折した企業も昔からあります。

 ユーザー主体開発という王道を行くには、データ中心の王道を行かなければならず、そのためにどうすればいいかというと最後は、「やり方を変える」「考え方を変える」といった、いわゆるリーダーシップの話になります。

 「経営トップとリーダーがいれば改革はできる」という主旨の講演がありました。経営トップについてはさておき、リーダーについては最後まで対話を続けて下さった方々がおられる限り、大丈夫であると思いました。

 最後にお知らせがあります。シンポジウムの閉会時に、「今回のシンポジウムの議論で得られた方向性や課題について、引き続き皆様が話し合える場を用意したい」とお話し、『システムイニシアティブ研究会』の説明をしました。この研究会はシンポジウム同様、実際にお集まり頂き、事例研究や意見交換を重ねるもので、3月から始まります。ぜひご参加下さい。