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 つくづく思う。“ものづくり”は面白い――。メーカーに勤めた経験はなく、いわゆるものづくりを体験したことのない自分がいうと、ちょっとおかしな気がしないでもない。それでも、いろいろな取材を重ねていると、やはりそう思う。今に始まったことではなく、たびたびそういう思いにとらわれるのだが、最近、ものづくりの面白さ、言い換えると、開発者の「思い」「こだわり」に心を動かされることが続いたので、そんな話を書いてみることにした。

 先日、あるルーターメーカーの方が、製品の説明に訪ねてきてくれた。あえてメーカー名は出さないが、小型で安価なルーターではトップシェアの、あの会社だ。製品は、多店舗展開しているスーパーマーケットなどでもよく使われている。「あぁ、あれか、よく知ってる」という方は読み飛ばしていただいて構わない。

 説明してもらったのは、これから出てくる新製品。ただ、既存製品に実装済みの機能の話もたくさんあって、むしろそっちのほうが興味深く話を聞くことができた。まったくもって不勉強のなせるワザなのだが、顧客ニーズに徹底的に対応しようという「こだわり」が感じられて面白かった。

 例えば同社のルーターには、パワーオフ・ログ保存という機能がある。動作に異常があった場合など、電源スイッチを切ると、シャットダウンの処理の前に、メモリーに記録されているログ情報をフラッシュメモリーに退避させる機能だ。ルーターが誤動作した場合などに、再起動のつもりでスイッチを切ると、メモリー上のログが消えてしまい、直前に何が起こっていたか分からなくなる。それを防ぐために、勝手にログを退避させるようになっている。

 背景には、以前とはユーザーのニーズが変わってきたことがあるのだという。「とにかく落ちない(止まらない)こと」。以前はそれが重視されていた。ところが近年は、落ちないことが重要なことは変わらないものの、「もしも止まったときに、なぜ止まったかが分かるようにしてほしい」という顧客が増えているそうだ。

 同社が提供するスイッチ製品との連携機能も「あまり多額のコストをかけられない顧客」を意識して実装したものだ。特別なネットワーク管理装置を使うことなく、遠隔からルーターとスイッチを一元的に管理できる。スイッチまで遠隔から管理できるようになるため、スキルが高い運用人員を必要以上に多く雇わずに済む。

 ほかにも、リモートアクセス用として、宅内のパソコンを遠隔起動するWake-on-LANの機能も標準で備えている。最近、スマートデバイスの登場とともに、仮想デスクトップを使ったリモートアクセスのソリューションが増えているが、利用するために、わざわざWake-on-LANの仕組みを追加導入しなければならないことが多い。だが、このルーターを使っていれば、そういう仕組みを別に作る必要はない。派手さはないが、「顧客のために」がてんこ盛りで、ユーザーでもないくせに、なんだかうれしくなった。

ソフト開発やネットワーク構築にも「こだわり」は必ずある

 当たり前のことだが、「こだわり」があるのは、物理的なものづくりだけではない。例えば、とあるベンダーのソフトウエア製品の取材でも「へぇー」と感じ入った。相手はデータベース製品。最近はやりのキーバリューストア型ではなく、(国産の)リレーショナルデータベースである。