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 Windows8は従来型とスマホ型の二つのユーザーインタフェースを持つ。なるほど、と思った。マイクロソフト版のスマホインタフェースMetroが成功するかどうかは分からないが、よく考え抜かれた戦略だ。それと同時に、このWindows8が“情報開発”の時代から“情報活用”の時代への移行を象徴しているように思えてならない。

 以前の記事で、「情報システムを持つ(=つくる)時代から使う時代へ、とはクラウドのマーケティングのスローガンだが、情報自体もつくる時代から使う時代へ移った」と書いた。しかし今は、この発想を若干修整して、情報システムよりも情報自体に重きを置くべきではないかと考えている。

 つまり、クラウドというパラダイムシフトの本質は情報開発の時代から情報活用の時代への移行である、と。それゆえにクラウドの時代は、情報を活用することに最適化したスマートフォンやタブレット端末が主流となるポストPCの時代なのだ。

 これまでのPCの時代は、特にインターネットも無かった頃は、会計データなどを除けばデジタル化された情報が少なかったから、企業における情報化とは、全従業員がデジタル情報を創り出すことだった。そしてPCはそうした情報を創り出すために最も適したツールとして普及した。

 一方、今は企業の内外にデジタル情報があふれている。まさにクラウドの賜物であり、そうした情報をいかに使いこなすかがビジネスでとわれている。そして、情報活用に最適化したツールがスマホ&タブレットなのである。

 つまりWindows8は、情報を創り出すことに最適化した従来からの環境と、情報を活用するために最適化した新しい環境を併せ持つことになる。ただ、新旧のコンセプトの異なるものを一体化させるのは、経験則から言えば筋が悪い場合が多い。むしろ、PC用とスマホ用のOSを別々に進化させた方が、開発上の制約要因が少ないだろうし、戦略上もすっきりする。

 それでも私が「なるほど」と思ったのは、これから先に起こることをマイクロソフトが完璧に読み切って手を打ってきているからだ。情報活用の時代には情報活用のためのアプリケーションがいる。しかも企業向けアプリといえども、社内のシステムで管理している情報だけでなく、インターネット上、クラウド上に無数に存在する情報をいかに複合的に活用できるようにするかが重要になる。

 実際、iPhone / iPad向けやAndoroid端末向けには、そうしたコンセプトのアプリが既に多数存在する。そして、これからますます同様のアプリは増える。しかも複数のクラウドの情報をクライアント側で連携させて活用するわけだから、アプリ開発の主要プラットフォームはサーバーサイドからクライアントサイドに再び移る可能性もある。つまり、スマホ&タブレットの環境は、これからのアプリ開発のホットゾーンなのだ。

 そんなわけだから、マイクロソフトは従来のWindowsからスマホ&タブレットの環境を切り離すわけにはいかない。アプリ開発のホットゾーンを切り離せば、Windowsは“退屈な商品”に転落してしまうからだ。もちろんマイクロソフトには、スマホ市場争奪戦に出遅れたWindows Phone 7を、既存のWindows資産を使って支援しようという思惑もあるのだろうけど。

 さて、マイクロソフトの話として書いてきたが、実はITベンダーやユーザー企業のIT部門も、これからは情報活用のためのアプリが求められるという問題意識を持っておくべきである。社内外の情報をビジネスに活用したいという経営者や従業員のニーズを無視して、従来型の情報開発のためのアプリに拘泥していると、たちまち時代遅れになり、他に取って代わられかねないのだ。