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 2012年、主だった上場企業における無線LANの導入率が50%を超える――。日経コミュニケーションが今年の7月から8月にかけて実施した「企業ネット/ICT利活用調査※1」から、企業における無線LANの導入率がじわじわと高まり、「年内に導入予定」を含めると過半数を占める見込みであることが判明した(図1)。この調査は毎年実施しているもので、予定を含めた導入率が50%を超えるのは初めてである。

図1●無線LANの導入状況
図1●無線LANの導入状況
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 最新の無線LAN規格「IEEE 802.11n」(以下、11n)の源流といえるIEEE 802.11が登場したのが1997年。ユーザー企業において、無線LANの利用が半数以上を占めるまで約15年かかった格好だが、今後は導入率の上昇ペースを加速させそうな要因がいくつも見えている。大きく端末側とサービス側の二つに分けて見ていこう。

 端末側の加速要因はスマートフォンやタブレット端末といったスマートデバイスの普及である。特に無線LANと相性のいいタブレット端末の動向に注目したい。

 タブレット端末の明確な定義はないが、一般にスマートフォンよりも大きな7~11インチ前後のディスプレイを備えた端末を指すことが多い。大画面になるほど利用者は動画など、よりリッチなコンテンツを楽しみたくなる。このとき、3Gよりも高速になる無線LANのほうが、大容量のデータ通信を快適に行える可能性が高い。

 実際、米国のiPadユーザーはインターネットのWebサイトにアクセスする際、移動体通信よりも無線LANを使っているというデータがある。調査会社の米コムスコアによれば、iPadユーザーの場合、ページビュー単位でみたWebサイトの利用率は無線LANが91.9%と圧倒的である(同社が6月に発表したプレスリリース)。移動体通信の利用率はわずか8.1%にすぎない。Androidタブレット端末ユーザーも無線LANのほうが65.2%と高い。なお、この調査結果に注目する情報通信総合研究所 岸田重行主任研究員は、無線LANのほうが使われている米国の事情について「米国の移動体通信網が日本に比べて貧弱な点も考慮する必要がある」と言及している(関連記事1)。

 利用者の使い方を想定してみると、そのサイズからタブレット端末は、スマートフォンでお馴染みの「歩きながら片手で操作」が少々つらい。その代わりに「立ち止まって両手で操作」するなら、タブレット端末に移動体通信ならではのハンドオーバーは必ずしも必要ではなくなる。