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 企業にとって電子メールは欠くことのできないツールである。機能面からみると、メールにはWebのような派手な進化はないが、その重要性は年々増しているといっていいだろう。その一方、メールシステムの構築手段については大きな動きがある。Gmailのようなクラウド型メールサービスという選択肢である。

 もともとGmailはコンシューマー向けのサービスとして始まった経緯もあり、企業向けのメールシステムとして利用するには、アクセス制御、シングルサインオン、ユーザー管理などの機能面で不十分だった。

 しかし最近では、Gmailと連携して、そうした機能を追加できるサードパーティーのクラウド型サービスが充実してきており、企業用途にも堪え得るようになった。また東日本大震災以降、外部にメールデータを預けるのをなんとなく忌避していた企業の意識が変わり、少なくとも選択肢の一つとして真剣に検討するようになったという。

 とはいえ、従来からの自社構築/オンプレミス型のメールシステムを選択する企業ユーザーもまだまだ多い。クラウド型メールに比べても、1000アカウント以上なら自社構築型メールの方が安く仕上げることも可能であり、それ以外にも利用環境に応じて様々なメリットがあるからだ。

 そこで日経NETWORK11月号の特集「メール構築テクニック」では、企業が今メールシステムを新たに構築あるいは更改する際のポイントをまとめた。クラウド型と自社構築型のどちらを選べばよいのか、クラウド型と自社構築型それぞれの導入・運用管理のポイントは何か、自社構築からクラウド型への移行あるいは両者を組み合わせたハイブリッド構成で留意すべきポイントは何か、といったことを取り上げている。今回は、その中からトピックを一つ紹介しよう。

メールボックスの容量はどのくらいにすべきか?

 メールシステム構築でのポイントの一つが、ユーザー当たりのメールボックスのサイズである。それは、自社構築で最も高価な要素となるストレージの容量を見積もるのに必要な情報でもある。

 ストレージにコストをかけたくないなら、クラウド型サービスという選択肢が有力だろう。ストレージはスケールメリットが効きやすく、自社構築では実現できない大容量かつ低コストのメールボックスを利用できるからだ。GmailやExchange Onlineでは、標準で1ユーザー当たり25Gバイトのメールボックスを利用できる。

 自社でメールシステムを構築する場合はどうか。おおまかにいえばメールボックスのサイズには二つの基準がある。一昔前は100M~300Mバイトが一般的だった。最近は1Gバイトが一つの基準となっているようだ。この違いは、メールの利用形態によるところが大きい。

 100M~300Mバイトというメールボックスサイズは、メーラーでPOPを利用するという利用形態によるものだ。POPはメール受信用プロトコルの一つで、ローカルにすべてメールをダウンロードし、メールサーバーにはデータを残さない。このため、サーバーのストレージ容量は比較的小さくて済む。なお、“一昔前”とあえて書いたが、今でもPOPのメーラーを使い続けている企業は多い。そうした企業では、現在でもこの基準に基づいたメールボックスサイズが使われている。

 これに対し、最近では企業コンプライアンスの観点から、なるべくパソコンにメールを残さない運用を望む企業が増えてきた。そうした場合には、POPではなくIMAPやWebメールを使うことになる。

 IMAPの場合は閲覧時に必要なデータをローカルに落とすが、基本的にIMAPとWebメールでは、メールデータをサーバーに置いたままにする形態となる。このため、メールボックスサイズも従来より大幅に大きくする必要があり、それが1Gバイトという最近のメールボックスサイズの基準につながるわけだ。

 この場合、冗長化など耐障害性と低コスト化のバランスをとりつつ、必要なストレージ容量を自前で用意する必要が出てくる。特集ではその辺についても解説しているので、興味があればぜひご一読いただきたい。