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 2011年10月20日、講演のため石川県山代温泉を訪れた。地図の上では東京から遠そうに感じるが、羽田から1時間で小松空港に降り立つと、そこからタクシーで30分とかからない。もっとも、タクシーではもったいないので路線バスでJR小松駅に出て北陸本線で加賀温泉駅に行き、ホテルの送迎バスに乗った。

写真1●抜けるような青空の下、加賀温泉駅前で記念撮影
写真1●抜けるような青空の下、加賀温泉駅前で記念撮影
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 加賀温泉駅はウィークデーにもかかわらず旅客が多く、駅前広場は公園のようにきれいに整備されていた。空はあくまで青く、秋らしい高い空だった(写真1)。講演会場となっているホテルのホールはとても立派で、約120人を前に気持ちよく話せた。いつもどおり、70分間で10回以上、皆さんを笑わせた。もちろん、役にも立っているはずである。

 その講演のテーマの一つがiPadだった。iPadの出荷が始まって1年半が経過した。世界では約3000万台も売れているそうだが、企業での利用がさほど進んでいるようには見えない。今回はiPadをはじめとするタブレットを、企業が仕事に生かすための考え方について述べたい。

 以下ではタブレットの典型としてiPadのみに言及する。結論を一言で書いておくと、目的をシンプルに絞り込むことがiPad活用の秘訣だ。

iPadはテレワークに不向き

 スマートフォンやiPadを使ってワークスタイルを革新する、などという目的を掲げて1000台単位で導入している企業がある。スマートデバイスで業務時間内の移動中に仕事をしたり、在宅勤務をすることを「ワークスタイルの変革」と呼ぶらしい。しかし、iPadに限らずスマートデバイスがテレワークに適していると思っているなら大きな勘違いだ。そんなことは羽田空港のラウンジをのぞいてみればすぐ分かる。

 あちこちにノートPCに向かって仕事をしているビジネスパーソンがいるが、iPadを使っている人は見たことがない。ビジネスワークでは文書(メールを含む)やプレゼンテーションを作ったり、表計算を使うことが多い。つまり、「コンテンツを作る」のがビジネスワークと言える。

 iPadはもともとゲームやビデオや電子書籍といったコンテンツを指先一つで軽やかに楽しむことを目的とした道具であり、コンテンツを作るには不向きだ。一方、キーボードとマウスを備えるパソコンはコンテンツ作りに適している。パソコンはコンテンツを作る道具、iPadは使う道具なのだ。

 では、iPadにキーボードとマウスを付ければいいかというと、そんなことはない。そういう使い方を「中途半端」という。