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 「Android端末がこの勢いのまま増えていけば、そこに搭載されるNFC(近距離無線通信)も爆発的に普及する。そして、きっと新しい経済圏ができあがるはずだ」――。こう持論を展開するのは、ブリリアントサービス代表取締役の杉本礼彦氏。Androidコミュニティ「日本Androidの会」の関西支部長でもある。

 NFCは近距離(数十センチメートル)で無線通信するための国際規格で、電子マネー決済などで使われるもの。スマートフォンではAndroid 2.3から正式サポートし、今後発売する新機種で順次搭載されるとみられている。そのため、スマートフォンの普及に伴って、NFCを軸にした電子マネー市場の動きが活発になっているというわけだ。

 日本市場では、FeliCaが一足早く浸透している。SuicaやPASMOといった電子マネー用カードだけではなく、FeliCa搭載の携帯電話(おサイフケータイ)なども合わせると7000万以上のユーザーを抱え、社会インフラに深く根付いている。

 ところがNFCチップには、FeliCa対応のものだけでなく、コストが安く海外で主流となっている「ISO/IEC14443 Type A」「同Type B」規格を採用したものもある。仮にAndroid端末がType AやBでしか作動しないNFCチップのみを採用すると、店舗などに設置している非接触式リーダライター端末を、Type A/Bにも対応する機種に入れ替えなければならなくなる可能性もある。

 そこで、FeliCaを主導してきたソニーやNTTドコモは、様々な手を打ち始めた。その一つがFeliCaの融合策だ。ソニーは11月10日、Type AやType Bに加えて、FeliCaを読み書きできる通信LSIを開発したと発表し、端末機器への採用をうながし始めた。NTTドコモは11月16日、Type A/B、FeliCaに対応したリーダライターを開発しているトランザクション・メディア・ネットワークスに出資すると発表。FeliCaとType A/Bが混在できる決済システムの確立へテコ入れをする構えだ。

ポイントやクーポン、スタンプもNFC1枚にまとめて記録

 電子マネー市場にこうした通信規格の混乱がある一方で、「スタンプ」や「ポイント」「クーポン」のような地域や店舗限定の「電子マネーではない通貨」を巡る動きが活発になってきる。

 ソニーとフェリカポケットマーケティングは11月30日、SuicaやPASMOに搭載した「FeliCaポケット」の機能を使って、乗車券精算以外に、スタンプラリーやポイント、クーポンなどのサービス事業を共同で開始すると発表。カード1枚の中に、乗車券の電子マネー機能、スタンプラリー機能、ポイントカード機能、クーポン機能を混在させて使えるようにする。

 冒頭のブリリアントサービスの杉本氏も、こうした使い方がNFCにとって普及の後押しになるだけでなく、新しいビジネスを創出する鍵になるとみている。「例えば、ある商店街のポイントカードをNFCでまとめて管理すれば、ポイントをその商店街だけで利用できる使い勝手のよい“仮想通貨”として扱えるようになる。それが拡大すれば“日本円”を使わない経済圏も作れるかもしれない」(杉本氏)というのだ。

 例えばこうだ。ある商店街で働くアルバイトへの報酬を、現物の日本円ではなく、その商店街だけで使えるポイントで支払ったとしたらどうなるだろうか。労働がポイントになり、それで飲食したり、映画を見たり、服を買ったりできる。さらに、企業間でもポイントによる取り引きが成立し、そのポイントを顧客や従業員に渡すようなことになったら、リアルマネーでもなく、現金にひも付けられた電子マネーでもない、新しい経済圏が動き出す。

 すでに、NTTドコモの「トルカ」や「おサイフケータイ」のように、FeliCaをベースにクーポンやポイントを活用するための仕組みは確立されてきた。後は、流行のソーシャルゲームで流通しているような“仮想通貨”を仕立て上げ、新しいサービスにまで練り上げることができるか、という時期にさしかかっている。

 もちろん制度上乗り越えなければならない問題点はたくさん残されている。しかし、NFCやFeliCaを基盤として、新しい経済システムを構築できる可能性は目の前にあるのだ。12月13日(火)から3日間開催するカンファレンス「スマートフォン&タブレット 2011 冬」では、ブリリアントサービスの杉本氏が「Android+NFCの革命」というタイトルで、こうした一連のNFCとスマホの新しいビジネスについて講演する。関心のある方は、ぜひご参加いただきたい。