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 3年後の2015年---。欧州の金融・財政不安や新興国の景気減速など世界経済を覆う負の要因は吹き払われているだろうか。震災被災地の復興や原発事故処理はどこまで進んでいるだろうか。サッカー日本代表のFIFAランキングは前年のワールドカップ ブラジル大会を機に躍進しているだろうか。消費税は8%になり、さらに10%へと引き上げられようとしているだろうか。国内の電力不足は解消されているだろうか。

 先を見通すのはいつだって難しい。ただ、上に挙げたような事項よりも、もう少し確からしい見通しを示せる事柄もある。「3年後、ビジネスパーソンが仕事に使うメインの端末はPCではなくなっている」というのは、どうだろう。

 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)がユーザー企業約1000社を対象に実施した「企業IT動向調査2012」によると、スマートフォンやタブレット端末などの“ポストPC端末”への関心が急速に高まっている。回答企業の3社に2社は、ポストPC端末を「導入済み」か「試験導入/準備中」または「検討中」と答えている。売上高1000億円以上の大企業に限れば、2012年度中にもタブレットの導入率は4割を超える見込みである(参考記事)。

 また、米コンサルティング会社ガートナーによれば、2011年のスマホの世界出荷台数は前年比58%増の4億7200万台となり、3億5280万台とほぼ横ばいだったPCを一気に抜き去った。タブレットは台数こそまだ6001万台だが、前年比で3.4倍へと急伸。2012年には前年比2倍増の1億1888万台、2013年には1億8245万台に達すると予測している。成熟市場であるPCが今後、せいぜい年率4%程度の成長しか見込めないのに対し、スマホやタブレットはしばらく数十%の急成長が続くと見ている。

 スマホやタブレットがこれほど支持されているのは、起動の素早さや操作のわかりやすさ、いつでもどこでも使える手軽さが最大の理由である。これらの利点は、企業の経営層や営業担当者など、自席でPCを操作する時間をとりにくいビジネスパーソンに特に評価されている。また、無線ネットワークを介してクラウドサービスと連携したり専用の業務アプリを組み込んだりできる拡張性や、3万円程度から入手できる割安な価格も、ビジネス活用ニーズを喚起している。

 もちろん、企業はスマホやタブレットを導入したからといって、すぐにPCを廃棄するわけではない。報告書やプレゼン資料などの文書の作成や表計算のように、PCのほうが効率的に作業ができる利用シーンは残るはずだ。スマホやタブレットは、メールやWebの閲覧、スケジュールの管理などから入って、次第に業務システム用の端末などとしても使われるようになり、現在のPCの役割を侵食していくシナリオになるだろう。

 その結果、文書作成や表計算が主要業務ではないビジネスパーソンには、個別にPCを割り当てる必要性が薄れていく。1980年代末から90年代初めのPC導入初期のように、部署には文書作成用の「共用PC」を置いておき、通常業務はタブレットやスマホでこなすワークスタイルが2015年ころには広がり始めているのではないだろうか。

 タブレット/スマホ向けのユーザーインタフェースを装備して今秋に発売されるWindows 8も、キーボードを分離してタブレットとしても使えるような機種の登場を促している。このためWindows 8は、PCの更新タイミングを迎えた企業に対し、タブレットやスマホを浸透させる推進剤としても働くことになる。

 業務システム用の端末としてスマホやタブレットを企業で本格的に活用できるようにするには、Webベースのアプリケーションだけでなく、iPad/iPhoneのiOS向けにObjective-Cでネイティブアプリケーションを開発できる人材や、Android端末向けにJavaアプリケーションを開発できる人材が必要になる場合もある。この点、ソフトウエア会社やシステムインテグレータは、すでに“ポストPC時代”に向けて体制やツールの整備を進めている。2~3年もすれば、ユーザー企業にとってこなれた利用環境が整うことが期待できる。