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 サーバー仮想化、ネットワークの仮想化と来て、IT分野でこの先やって来る仮想化は何か---。記者はその一つにユーザー自身の仮想化すなわち「人間仮想化」があると考える。

 現実の社会(リアリティ)とネット(バーチャル)の世界で名前を使い分けて別々の人格を持つといった方向の話ではない。SNSで炎上させないためのテクニックなどでももちろんない。今の時代、さまざまなIT技術やITリソースを巧みに組み合わせることで、実際の肉体は一つでも、同時に複数の“仮想的自分”(Virtual Myself、VM)を作り出し、仕事をしたり生活を営んだりするようなことが現実のものとして実現できるという話である。記者が実践している人間仮想化のための取り組みを紹介しよう。

既存の仮想技術を組み合わせて実現する

 この記事を読んでいる読者のみなさんは、普段どんな仕事に就いているだろうか。ITエンジニア?ネットワーク管理者?プログラマー?、それ以外の職業だという人も多いだろう。学生もいるかもしれない。いずれにせよ、ほとんどの人が何か一つの仕事や学業に打ち込んでいるはずだ。記者はもちろん、普段は「記者」という一つの仕事だけをしており、まわりの人もそう認識している。

 だが、実は記者には、記者としての自分以外に「Webサイト運営者」「ネットワーク管理者」「パソコン活用アドバイザー」その他ちょっとここでは伏せておくが様々な活動をしているVMがいる。これらのVMは普段、趣味あるいは実益を生まない活動として上記のような業務を担当しているが、それは単に勤めている会社が副業を禁止しているからであって、もし認められるならばVMを使って実際に収入を得ることも難しくはない。

 家族を含め、まわりの人間が誰も知らないことで立証されているように、今の時代、特にIT関連の仕事であれば、既存のIT技術やリソースをフル活用することで、ほぼ独立した形で同時に複数のVMを持ち、活動をすることが可能である。この地球上に住んでいる限り、時が流れるスピードは誰にとっても同じだし、人生は1回限りである。しかし、人間仮想化(多重化と呼んでもいい)を実践することで、より濃い人生を歩める可能性が高まることは間違いない。

 人間仮想化を実現するには、既にある仮想化技術、すなわちVPN(Virtual Private Network)やVDI(Virtual Desktop Infrastructure)技術、仮想化ソフトなどによるサーバーの仮想化技術、クラウド技術やサービス、OpenFlowなどに代表されるネットワークの仮想化関連技術などを組み合わせる必要がある。これらを組み合わせることで、自分の居場所とは関係なく、いつでも必要な機材やリソースにアクセスして何かを遂行できる環境を作り出せるようになる。

 幸いなことに、21世紀に入って10年以上が経過した現在、上で列挙したような仮想化技術のほとんどが個人レベルでも無償あるいは比較的安価に利用できるようになっている。例えばパソコン向けの無償仮想化ソフトを使い、サーバー向けOSをインストールした仮想マシンを複数設置。それらをIPルーターやセキュリティゲートウエイなどの仮想アプライアンスと接続すれば、企業顔負けの仮想化ITインフラがタダ同然で出来上がる。それらを動かすためのパソコンだって、最近では32Gバイトものメモリーを搭載したマシンが数万円程度で手に入れられる。

 手前味噌で恐縮だが、記者は自分自身の人間仮想化の取り組みをアウトプットする目的も兼ねて、「最新OS&ソフト わくわくインストール」という連載記事を持っている。リンク先の目次を見ていただくと分かるように、同コラムでは既にパソコン向け仮想化ソフトやサーバー向け無償OSをはじめ、いくつか人間仮想化に役立つソフトを紹介している。今後も、ルーターOSやセキュリティゲートウエイ、OpenFlow関連のソフトなど人間仮想化に活用できそうなソフトを続々と紹介していく予定である。