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 「なんだかみんな、パワフルだなあ」

 日経情報ストラテジー10月号で「GE流で鍛える」という特集記事を担当した。人材輩出企業として知られる米ゼネラル・エレクトリックは、その卒業生が米3M、米ボーイングなど名だたるグローバル企業のトップに就いている。近年日本でも同様の動きが見られ、GE本社の上級副社長を務めた藤森義明氏がLIXILグループの、日本GEプラスチックスの社長だった秦孝之氏が日産自動車のグループ企業ジヤトコのトップに招へいされている。

 特集では、こうしたリーダーが育つ素地となったGE流経営手法を探った。問題解決手法のシックスシグマやワークアウトなどがGEで開発されたのはよく知られている。これらも含めた様々な手法が、GE以外の企業でどのように活用され、組織を「鍛えて」いるかをリポートするため、藤森氏と秦氏のほか、製薬会社ノバルティスファーマの三谷宏幸社長、国際物流を手がけるディー・エイチ・エル・ジャパン(DHL)の山川丈人社長ら、外資系企業のトップにも取材をした。

 特定企業の複数のOBに取材するのは、自分にとっても初めての経験。それで感じたのが冒頭の感想だ。高い目標を掲げ、スピードを何よりも重視して変革にまい進する。それを自信を持って堂々と語る姿はどのトップにも共通していた。

 GEの卒業生で、現在日本マイクロソフトの組織・人財開発部長を務める直井英樹氏は、GEのリーダーたちを「“がはは”力を持つ」と表現する。考え込むよりまず行動、失敗にめげず周りを巻き込んでどん欲に挑戦し続けるイメージだ。確かに取材したトップたちは、「がはは」と笑いながら仕事にまい進する姿が容易に想像がつく。なるほど、こういう強いリーダーを育てるのがGE流経営手法なのだ、と。

弱者の立場にも目配り

 ところが、各社の現場で取材をしているとこの印象は少し変わってきた。GE流経営手法のなかには、意外と繊細で、感情にも配慮したものもあったのだ。

 1例が「ステークホルダー分析」。DHLではシックスシグマをベースにした「ファーストチョイス」という業務改革を全社で展開し、品質や生産性向上に成果を出している。ただし改革によって、権限が低下したり、仕事が煩雑になったりと負の影響を受ける社員やマネジャーが生まれる可能性がある。そうした人は改革を阻止しようとする「抵抗勢力」になりがちだ。