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 2020年度までに、IT業界における指導的立場の女性の比率を30%まで引き上げる――。

 ITベンダーなどが参加する業界団体である情報サービス産業協会(JISA)が、ダイバーシティへの取り組みに本腰を入れ始めた(関連記事)。管理職やITスキル標準レベル5以上の高度な専門職といったポジションを想定している。

 IT業界が女性の活躍を求めるようになったのは、なぜか。

新領域のシステム開発には女性の視点が欠かせない

 一つには政府の施策がある。「労働力確保」や「経済活性化」ということで、経済産業省、内閣府、厚生労働省などが、各業界に呼びかけて推進している。日本の人口が将来的に減っていくなか、結婚や出産・育児などで退職せずに働いてもらい、競争力を維持したいということだ。もちろん育児支援や休業・復職などの制度を整備する前提である。

 経産省の資料によると、世界では女性役員の比率が高い企業の方が、ROE(株主資本利益率)などの経営指標が高い傾向にある。例えば、上位と下位の企業では、ROEで4ポイントの差が見られるという。また、育児介護支援などのワークライフバランスに取り組む企業のほうが、粗利益が2倍以上高いという調査もある。

 「業績がいい企業だから、そういった取り組みができる」「企業イメージ向上のためだけに必要か」という意見も聞こえてくる。しかし、日本のIT業界が女性活用に本気で取り組まなければいけない変化がいくつも起きている。

 あるITベンダーの幹部は、「新卒で面接を受けにくる学生を見ると、受け応え、試験など、どれを見ても女子学生の方が優秀。入社後も、例えばプログラミングのセンスがいいことが多い」と言う。そのまま採用すると女子ばっかりになるので、「男子学生にゲタをはかせて、採用している。それでも女子の比率が多い」と苦笑する。

 IT業界に増えつつある女性を活用する仕組みや風土がないと、日本のIT業界の発展は望めない。というのも、ITの適用領域が急速に拡大しているからだ。男ばかりの「3K職場」では、イノベーションに限界がある。グローバルでの競争を勝ち抜けない。

 ITの領域は、企業のコスト削減や日々の運営を支援する基幹システムなどの「バックオフィス」から、新たな成長の推進力となるECサイトやCRM(顧客関係管理)など「フロントオフィス」へと急拡大している。ビッグデータを本格活用するのもこの領域だ。

 例えば、一般消費財のECサイトの構築であれば、女性の視点が欠かせない。顧客企業の担当者はマーケティングなどの利用部門。システム部門でないことが多い。画面デザインもそうだが、ITの知識も持った広い視点で顧客とマーケティング戦略を立案し、さらにシステムに落とし込んでいく必要がある。