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 国や地方自治体などが保有する公共データを共有財産としてインターネットで誰でも使えるように公開し、新たな産業を育てようとする機運が高まっている。いわば従来型の公共投資ではなく、情報公開で経済の活性化を目指すというわけだ。経済成長を掲げる安倍晋三政権の重要課題として浮上するだろう。

 政府のIT戦略本部は2012年7月に、「電子行政オープンデータ戦略」を策定。2012年12月に東京大学で開かれた「オープンデータシンポジウム」には、産官民が連携した「オープンデータ流通推進コンソーシアム」や総務省の主催者に加え、オブザーバーとして内閣官房、経済産業省の担当者らも登壇。総務省と経産省の省庁間のせめぎあいが「総経戦」といわれるとのエピソードを披露して会場の笑いを誘いながら、いずれも積極的な姿勢を披露した。

 二次利用が可能な形で行政が抱える情報が提供されれば、政策の分析や判断が可能になり、行政の透明性や信頼の向上につながる。さらに、民間サービスの創出が促進されて多様な公共サービスが効率的に提供され、経済の活性化や行政サービスの業務効率化が図られる---というバラ色の触れ込みだ。

遅れる法整備、ガイドライン求める企業

 「総経」の積極ぶりの背景には、既に欧米を中心に「政府のオープン化」が進んでいるという事情がある。米国政府は2009年5月にデータ公開サイトの「Data.gov」を立ち上げ、英国も2010年1月に「data.gov.uk」の運用を開始。約26カ国に同様のサイトがある。

 日本でも行政がそこまで前向きならば、データ形式など技術的な整備が進むことですんなり実現しそうな構想のように思える。だがシンポジウムでは、行政機関が商用利用や二次利用を限定したいという意向を持つと報告されるなど、著作権や利用規約の標準化が課題の1つとして紹介された。だが、さらに大きな課題は、欧米と比べて個人情報保護法など法的なインフラ整備が遅れているという点にある。

 そもそも日本において行政は情報公開に積極的ではなかった。個人情報の保護を建前に公開を拒むこともあった。現在の個人情報保護法は広範囲に及び、過剰反応も問題だ。

 総務省が2012年に公表した「ビッグデータの活用に関する関係者ヒアリングの概要」には「個人情報等のデータについて、それらをどう使っていけばいいのかというコンセンサスやガイドラインのようなものを行政や企業等も含めて策定することが重要」といった率直な要望が目立った。