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 ITとはまったく関係ないが、古本の世界に興味がある。直木賞作家であり、古書店主でもある出久根達郎さんの古本エッセイのファンだからだ。なので、今クール(2013年冬)の月9ドラマ、「ビブリア古書堂の事件手帖」は欠かさず観ている。

 一冊の本に秘められた謎を、剛力彩芽さん演じる古書店主が解き明かしていく。明かされるのは悪事ではなく、隠されていた恋や夫婦の情愛なので、観終わった後にはいい心持ちが残る。店主が語る古本についてのうんちくも興味深い。例えば、宮沢賢治の生前唯一の著作である「春と修羅」の初版本は、状態の悪いものでも100万円するという。賢治が推敲のために書き込みしたものを「手入れ本」といい、美本(保存状態のいい本)より高価なのだそうだ。いったいいくらするのだろうと思うがドラマでは語られなかった。「春と修羅」は著作権が切れているので、Amazonの電子書籍なら無料で読める。

 さて、本論に入ろう。2012年12月中旬、ある企業の方々十数人が筆者のプレゼンを聴くために来社された。この中の1人が私の著書を読んでネットワークの関係者に話を聞かせたい、と営業を通じて依頼があったのだ。「どの本を読んでいただいたのですか」と尋ねると、「6冊全部読みました」とのこと。せっかく来ていただいたのだから、プレゼンを楽しんでもらおうと考えた。

 プレゼンの目的は聴く側には有用な情報を得ることであり、話す側にとってはビジネスチャンスをつかむことだ。しかし、ただ役立つだけのプレゼンはつまらない。面白さ、楽しさ、驚きというエンターテインメントの要素がないと強い関心を持ってもらえないし、伝えたいことがしっかり伝わらない。

 つまらないプレゼンや講演によく見られるのが「スライド依存症」だ。今回は、プレゼンを面白くするためのスライド依存症解消法について述べたい。

3つの症状

 スライド依存症の主な症状は3つ。(1)スライドにある内容しか話さない、(2)スライドを文字や図でぎっしり埋めて読み上げる、(3)プレゼン時間に対してやたらスライド枚数を多くする---である。

 スライドにある内容だけを話しても、ありがたみはない。書いていないことを話すから聴きにきた価値があるのだ。プレゼンの構成はコース料理と同じように、前菜、複数のメインディッシュ、口直し、デザートと分けて考えるとよい。スライドは主にメインディッシュで使う。口直しやデザートはフリートークが原則だが、筆者は脇道にそれた話題のために映写のみのスライドを使うことがある。講演の主題であるメインディッシュが重要なのは言うまでもないが、そればかりだと講演はつまらない。口直しやデザートに20%から30%の時間を当てるべきだ。

 スライドの文章や図を読み上げるのも芸がない。スライドはキーワードと簡潔な図だけにとどめ、話で肉付けするのがよい。時間に対してスライドが多すぎるのは自信のない証拠だ。スライドなど1枚もなくても話す内容に自信があればプレゼンはできる。とはいうものの、プレゼン時間とスライド枚数はどの程度が適切かというと、筆者は1枚当たり2~3分を目安にしている。