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 NECが中小企業向けにシステム販売を手がける販売店に、クラウドサービス提供への構造転換を促すような施策を打ち始めた。

 2013年3月15日に発表した、年商100億円未満の中小企業を対象にしたクラウド型ビジネスプレイス「N-town(エヌタウン)」がそれだ。

 N-townは、販売店が中小企業に各種ITサービスを提供するクラウド基盤などから構成されている。この販売店用のクラウド基盤上に、中小企業が必要とする業務・業種アプリケーションを載せる。

 具体的には、NECが開発した会計や人事・給与、販売管理のほか、販売店やソフト会社がNECのソフト開発キットを使って、クラウド基盤上で稼働するサービスを開発する。

 この事業を推進する柳田真産業ソリューション事業部長は「(中小企業が)欲しいものは何でも手に入る」と、N-townの狙いを説明する。

中小企業が欲しいものは何でも手に入るは本当か

 とはいっても目下のところ、その数は20種類と少ない。「売り上げ拡大」「資金繰り」「コストダウン」といった経営課題に関するコンサルティングサービスもあるので、実際のクラウドサービスは10数種類にとどまる。

 大塚商会のSMILEαなど、N-townに載っていない有力な業種・業務アプリケーションがあるし、間接材の購入サイトもまだ用意されていない。

 NECは「3年以内に100種類に増やす」としているが、販売店やソフト会社にとって、もうかるクラウド基盤でなければ、N-townを活用する販売店は増えないし、基盤上に載るサービスも増えないだろう。

 成否のカギは、使いやすいサービスメニューの品ぞろえと新しいパートナー作りにあると見た。N-townを扱うのは、オフコン時代から築いてきた販売店、約550社のうち数十社(発表時点)ほどだ。

 実は、N-townの発表を知らせていない販売店がある。NEC関係者によると、保守中心の販売店が多くなり、新しいPCサーバーの販売や新規顧客の開拓に積極的な販売店が少なくなっているという。「クラウドに関心を持つ販売店も少ない」(NEC関係者)。クラウドから収益を得る方法が分からないこともあるのだが、新技術や新製品を適用されずに、塩漬けになっているユーザーがいるだろう。

 NECは、そんな既存の販売店の活動領域に踏み込み、クラウドを展開したい新しい販売店と協業したらどうだろう。NECのクラウド事業への取り組み姿勢にかかっているということだ。

 今回、クラウド版の会計や人事・給与を自社開発したのは、その一端を見せてくれたように思える(実は10年以上前から、大塚商会のSMILEαをOEM調達し、DREMTRAINという名称で販売店に提供している)。

 だが、N-townの売り上げは、5年間で250億円(NECの実質的な売り上げは半分の125億円)。獲得ユーザー数は1万社と、控え目の数字のように思える。NECの中堅・中小企業向け事業規模は2012年度に約2000億円で、そのうち年商100億円未満の中小企業向けは、おそらく半分の1000億円もないだろう。

 それだけに「クラウドを成功させる」というNECの強い意気込みがなければ、販売店はついてこない。クラウドを活用した新規ビジネスを計画する新しいパートナー作りに着手するのか、既存販売店の転換を促すのか、NECの施策に注目する。