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 「ハードウエア、ソフトウエア、ネットワークの各事業部門が自分たちの商品を部品と思うことが重要だ」。NECでシステムプラットフォームBU(ビジネスユニット)を担当する庄司信一執行役員常務は、4月上旬に発表したサーバーとミドルウエア、ネットワーク、端末、アプリケーションをセットにした垂直統合型商品を成功させる方法をこう考えている。もはや自部門の商品だけにこだわっていたら、顧客の要求に応える商品を提供できないということだ。

 もちろん、サーバー部門は競合他社に負けないサーバーの開発に取り組んでいる。「(その商品に)愛着を持っているし、自信もあるし、こだわりもある」(庄司常務)。ミドルウエアなどの部門も同じだ。だがユーザーは、サーバーやミドルウエアなどの単体ではなく、経営課題を解決するソリューションを求めている。答えの一つが垂直統合型商品というわけだ。

 庄司常務はプラットフォームBU長に就任した1年前から、各部門に商品を部品に見立てることを説いてきた。この4月に庄司常務は執行役員から昇格した。そして担当分野をハードとソフト、ネットワークに加えて、サービス基盤や端末などに広げた。BUの名称も「プラットフォーム」から「システムプラットフォーム」に変え、サービスデリバリと企業ネットワーク、システムソフトウェア、ITプラットフォーム、システムデイバスの5事業部編成にした。「企業市場を対象とするプロダクトとサービスの事業部門を統合し、一括で提供できる体制にした」(庄司常務)。垂直統合型商品の開発を加速するためでもある。

 具体的な取り組みとして、システム構築を早く安く実現するため、これまで経験した個別SIの中から売れ筋の組み合わせをパッケージ化していく。現在のところ、データ蓄積/解析基盤2モデル、業種/業務アプリケーション基盤5モデル、クラウドサービス基盤3モデルの10の基本モデルを用意した。これらの活用で、プラットフォーム構築期間を最大で6割短縮、導入コストを最大で4割削減できるという。ユーザーは構築にかける手間と費用を大幅に軽減できる一方、NECのSEは、より多くのSI案件をこなすことが可能になるという。

 問題は、獲得する案件を増やす必要があることだ。大手企業から中小企業までカバーできる品ぞろえも欠かせない。そのため、パートナー企業向け開発環境を整えた。営業力強化に向けた営業とSEの組織再編も進めているようだ。IT資源をより柔軟に組み合わせることができる新しいアーキテクチャーの開発にも取り組んでいる。

 NECはこうした施策で、垂直統合型商品を3年間で500億円売り上げることを目標とする。NECの1兆円近いITソリューション事業の規模からすると小さな数字に思えるが、目先の各部門の部品の売り上げ確保を優先するのではなく、垂直統合という新しい事業領域の拡大と利益を重視するからだろう。そんな庄司常務の想いがNEC社内に浸透するかが、事業成否のカギになる。