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 ビッグデータ活用が声高に叫ばれるようになって約2年が経過した。しかし、ビッグデータが企業の現場を変えている例はまだまだ少ないように思えるのは、私だけではないだろう。

 現場が本当にビッグデータを“使える”ようになるには、それこそ分析の結果を簡潔に、そして分かりやすく伝える努力と工夫がいる。それができなければ、どんなにデータが大量にあっても、活用することはできない。

 そんななか、先日、非常に単純で、かつ現場の行動の変化につなげやすいビッグデータ活用を目の当たりにしたので紹介したい。レシピ検索サイトを運営するクックパッドにおける「同時検索」のワード分析と、スーパーマーケットの売り場への情報提供である。同時検索のワード分析とは、「何と何のワードがクックパッドの検索ボックスに一緒に入力されるか」ということである。

 スーパーの店員はスマートフォンで同時検索の結果を確認でき、売り場作りに生かせる。そうしてでき上がった売り場の様子を、店員自らがスマホのカメラで撮影し、クックパッドにコメント付きで投稿する。消費者は自分がよく行くスーパーを事前に登録でき、該当店舗からの情報だけを選んで受け取れるようになっている。2012年12月から試行が始まったこのサービスの利用者は、2013年5月時点で35万人に達しており、今も毎月増え続けているという。

レシピの検索ワードから、今どきの食卓が見えてくる

 検索サービスのいいところは、利用者がどんなワードを同時に入力しているのかを簡単に調べられることだ。そうして集まったビッグデータの分析結果から、消費者の意外な食行動が見えてくることがある。

 料理レシピ検索に特化したクックパッドの場合、月間で2000万人以上の利用者がいるため、それこそ利用者の食べ物の好みから食生活、さらには冷蔵庫の中身や買い物の様子まで見えてくるわけだ。クックパッドはこれらの分析結果を、次のビジネスにつなげようとしている。

 さて、ここで問題だ。次のワードと同時に検索されることが多い単語は何だろうか。ちょっとした「食事クイズ」だと思って、ITproの読者のみなさんも挑戦してみてほしい。その前に一例を示そう。

 例えば、「冷やし」。このワードと同時に検索されることが多い単語は何か。

 「冷やし」とくれば、「中華」だろう。私はすぐにそう思った。きっと多くの読者もそう思うに違いない。

 当然、クックパッドでは「冷やし中華」という1ワードの検索は件数が多いわけだが、同時検索で見ると、「冷やし」との組み合わせでは「うどん」が一番多くなる。

 ここから、「冷やし」というワードから連想される、またはレシピとして調べたい単語としては「うどん」のニーズが高いことが読み取れる。

 こうした情報をスーパーにタイムリーに伝えられれば、売り場作りや仕入れにきっと反映できるだろう。つまり、売り場の行動が変わる。これこそが本当のビッグデータ活用ではないだろうか。

 どんなに分析が巧みでも、現場の行動が変わっていかなければ、何も分析しなかったのと同じことだ(関連記事:ナニワのデータサイエンティストは、現場の「こうちゃうか?」を尊重)。