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 以前、『「システム内製こそ正義」のたわ言』という一文を私のコラム「極言暴論」で書いた。米国企業と異なり日本企業は終身雇用が前提なので、システム開発の山に合わせて技術者を雇用できない。だから何の前提もなくシステム内製の必要性を叫ぶのは、たわ言にすぎない――。そんな話だ。

 そして今回は「システム内製こそ正義」という話を書くことにする。なんと節操の無い、と思われるかもしれないが、さにあらず。『「システム内製こそ正義」のたわ言』の最後で、企業のIT部門が内製のための人員を維持できないのはバックオフィス系のシステムに限った話であって、ビジネス直結のシステムではそれは当てはまらないと書いた。

 ここで書くのは、そのビジネス直結のシステムの内製についてである。ビジネス直結のシステムとは、ネットマーケティングやEC(電子商取引)、ICカードやスマートフォンを使った販促といったビジネスを支えるシステム、売り上げをつくり利益を生み出すシステムのことだ。会計システムなどバックオフィス系のシステムのコストが販管費なら、こちらは原価に組み込まれるシステムだ。

ビジネス直結のシステムは外注が困難

 ビジネス直結のシステムは、開発や保守のやり方がバックオフィス系のシステムとは全く違う。バックオフィス系のシステムなら、開発はウォーターフォール型でそれなりの規模のプロジェクトとなるが、運用時のシステムの改変、いわゆる保守の業務量はそれほど多くない。だから、多くの企業でIT部門は平時の運用・保守業務に合わせた人員数となり、開発はITベンダーに丸投げしなければならないことになる。

 一方、ビジネス直結のシステムでは、最初の開発が大規模プロジェクトにならないことが多い。特に新規ビジネスのためのシステムの場合、そもそもビジネスを小さく立ち上げるから、システムの開発規模も小さい。ただ、開発途中でも要件はどんどん変わり、変更、変更の連続になる。まさにリーンスタートアップであり、アジャイル的な開発が必要になる。

 そうなると、「要件さえ明確にしていただければ何でも作りますよ」という従来型SIを得意とするITベンダーに開発を任せることは難しくなる。必然的に、自社のビジネスを理解し素早く柔軟に対応できるIT部門が、開発を担う必要が出てくる。

 さらに重要なのは、運用フェーズに入ってからの保守である。バックオフィスの業務と異なり、フロントのビジネスは環境やニーズがどんどん変わるから、システムも常時改変していかなければならない。小さな改変ならほぼ毎日、大きなものでも半年に一度、週一の会議で1カ月以内に要件定義し、2~3週間で作るといったことが当たり前になる。