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 2.5GHz帯周波数の追加割り当てを巡る今回の一連の騒動は、明らかにソフトバンクの分が悪い。総務省の電波監理審議会の前田忠昭会長が「(孫正義社長の発言内容は)自身の関係する会社が選ばれなかったことがベースとなっており、論理的ではない。少し異常な事態」と苦言を呈した通り。「大会社の社長として(天下りの件を)推測に基づいて非難するのは必ずしも良い行為ではない」(同)。

写真1●総務省の総合通信基盤局長への抗議を終えて険しい表情を見せるソフトバンクの孫正義社長(2013年7月25日)
写真1●総務省の総合通信基盤局長への抗議を終えて険しい表情を見せるソフトバンクの孫正義社長(2013年7月25日)
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 今後予定される1.7GHz帯の追加割り当てを優位に進める狙いとの見方もあるが、実際は全く逆である。「周波数当たりの契約数」を考えるとNTTドコモが明らかに優位。ソフトバンクグループに割り当てとなれば、まさに孫社長が問題視する「恣意的な判断」と非難されかねない。それこそオークション制度の導入にでもならない限り、獲得の芽はないとみている。

 ソフトバンクグループが行政訴訟に正式に踏み切れば、800MHz帯周波数の開放を求めた2004年10月以来となる(関連記事)。このときは結局、訴訟を取り下げたが、しばらくは総務省から面会を拒否され、「(事実上の)出入り禁止になった」(孫社長、写真1)経緯がある。それ以前にもADSLの設備開放を巡って大暴れしており、ただでさえ総務省の心象は良くない。今回の一連の騒動で関係がさらに悪化したのは言うまでもないが、それを承知のうえで、敢行した。どうしても怒りを抑えられなかった。以下では、この背景をもう少し掘り下げて解説したい。

今回の敗戦はKDDI対抗で致命的

 まず、今回の割り当てが、ソフトバンクグループにとって致命的なダメージとなることを改めて強調しておきたい。今後の事業者間競争を見渡すと、端末は各社でほぼ横並び、通信方式もLTE(TD-LTEを含む)への一本化が進むので差異化が難しくなっていく。設備構築の巧拙は依然として残るが、保有する周波数帯と帯域幅が大きなカギを握り、今まで以上に競争上の有利・不利に直結する。

 周波数帯は、端末の調達のしやすさやつながりやすさに大きな影響を及ぼし、帯域幅が多いほど高速サービスを展開しやすい。この傾向は、LTEの進化系であるLTE-Advancedでさらに強まっていく。ソフトバンクがイー・アクセス買収に動いたのもiPhone 5が対応する1.7GHz帯周波数の獲得が狙いだった(関連記事)。海外でも周波数の獲得が目的の買収が増えている。