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 9月11日、神田で行われた日本データ通信協会主催のセミナーで講演した(写真)。データ通信協会は電気通信主任技術者・工事担当者の国家試験を実施している団体で、セミナー参加者の過半数が情報通信エンジニアの方だった。講演テーマは「-LTE人口カバー率100%目前、格安タブレット普及-“豊かな”IT資源で実現する企業ネットワークの革新」というものだ。

写真●データ通信協会で行った講演
写真●データ通信協会で行った講演
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 「タブレットはどんどん安くなっています。1台のタブレットを大事そうに抱えている人は反省して、リビングにも寝室にもトイレにも安いタブレットを置いておき、朝のニュースはトイレの中で見る、といった使い方をしてください。タブレットは持ち歩くものでなく、“置いておくもの”になったのです」といった話で皆さんを笑わせた。半分本気である。

 さて、本論に入ろう。7月に総務省が「情報通信白書平成25年版」(以下、白書)を公表した。白書を読むと、文章は「毎年同じようなことを書いているなあ」と思わせられる。しかし、データを見るとそこには発見や驚きがある。例えば「日本はスマートフォン後進国」であること。スマホの普及率はシンガポール77%、韓国68%に対し、日本は38%にすぎない。

 LTEの契約数の伸びには驚かされる。2011年度末の230万契約から、2012年度末には9倍近い2037万契約に増えた。そのうち1157万がNTTドコモである(同社の公表による)。一方、FTTHは2230万契約から2386万契約と7%しか増えていない。2013年度末にはLTEがFTTHを上回るだろう。光ファイバーの時代が終わり、ワイヤレスブロードバンドの時代になったのだ。

 さて、そのLTEのことである。筆者はLTEを使った法人向けの格安サービスができると思っている。

ビジネスアワーはモバイル網が空いている

 モバイル通信事業者は、スマートフォンの普及で年々倍増するトラフィックに悩んでいる。白書の第4章第5節、366ページに「移動通信トラヒックの推移」というグラフがあり、月曜日から日曜日までの時間ごとのトラフィックが示されている。このグラフから分かることは「モバイル網のトラフィックのピークは午後10時から午前0時であり、企業の業務トラフィックのピークである午前11時前後、午後2時前後のトラフィックは少ない」ということだ。

 白書では個人と法人を区別していないが、明らかにトラフィックのピークは個人が作っている。2013年3月の月曜日の平均トラフィックを見ると、午後10時~11時の約640Gビット/秒に対して、午後1時~2時は約420Gビット/秒と34%少ない。午前10時~11時は約350Gビット/秒で45%も少ない。

 通信網の設備はピークトラフィックに耐えられるように設計されるので、モバイル網には午後11時のトラフィックを上回る容量があることになる。つまり、ビジネスアワーである午後2時前後には34%以上、午前11時前後には45%以上の余力があると言える。

 この余力を使えば、法人向け格安サービスが可能なはずだ。例えば「午前3時から午後6時まで最大1Mビット/秒、午後6時から午前3時まで最大200kビット/秒で流量制限なし」のサービスを月額2000円で提供する、といった感じだ。企業ネットワークではいまだに1Mビット/秒のIP-VPNや広域イーサネットがたくさん使われている。数万円かかるこれらの回線を2000円のLTEで代替できたら、その経済効果は大きい。1本で心配ならドコモのLTEとKDDIのLTEで2重化すればよい。それでも4000円である。