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 作品そのものへの課金は、エブリスタの収益モデルを大きく変える。エブリスタの2013年3月期の売上高は約20億円で、営業利益は約10億円。もともと高収益モデルだが、今期は新たな課金収入が見込めることになった(関連記事:ドコモが一般人の手作り作品を売買できるサービス「dクリエイターズ」を5月に開始)。

作品をどこまで読んだかが分かる画期的な仕組み

 販売プラットフォームが稼働したことで、クリエーターは自由に1話単位で値決めできるようになった。そのため例えば、第1話から第5話までは無料に設定し、第6話以降は有料といった設定もできる(繰り返すが、会員は全作品の中から1日1話だけは無料で読める)。「最初は無料でお試しして、気に入れば有料で購入してください」という、フリーミアムのビジネスモデルである(写真3)。

写真3●E★エブリスタのクリエーターが確認できる売り上げ画面
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 さて、この課金システムの画期的なところは、ほかにもある。それは、各読者(会員)がどの作品を「どこまで読んだのか」をエブリスタ側で把握できることだ。これはリアルの本では実現できないこと。DeNAが提供するソーシャルゲームで、各利用者がゲームのどこまで進んだかを把握できるのに似ている。

 分析はこれからの話になるが、例えばこんなことができると考えられる。

 ある作品が「第10話を境に売れなくなった」とアラートが出る。その原因は何だろうと、考えるきっかけをまずもらえる。第9話までは順調に売れていたのに、そこで読者が買うのをやめたとなれば、第9話に読者の期待を裏切る「何か」があったと想定するのが自然だろう。

 話がなかなか進まないダレた展開に読者がついに嫌になったとか、人気キャラクターが登場しなくなったとか、先の展開が読めたとか、いくつか原因が見えてくるだろう。そうした反省材料をクリエーターは次の作品に生かして、再チャレンジする。こうしたフィードバックが可能になるのである。

 ゲームでいえば、ある「ボスキャラ(敵キャラクター)」が強すぎてどうしても倒せず、そこで多くの人がゲームをするのをやめてしまった、という状況に近い。こうした反省を踏まえて、次のゲームではボスキャラをもう少し弱く設定するなどの調整を図るのは、ソーシャルゲーム作りには欠かせない作業である。

 取材中、この話になった時、私は福島氏に「これってまさに『アナリスト』の仕事そのものですよね」と確認した。