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 塵(ちり)は精密部品の大敵。同社の製造ラインの大半は、空気清浄度がクラス100~10万のクリーンルームなど、防塵(じん)対策を施した室内にある。

 これらのエリアでは、塵を増やすような行為は御法度だ。例えば、普段使っているノートパソコンの持ち込み。廃棄/吸気のためのファンがついているほか、表面に隙間や穴が多いため多くの塵も一緒に持ち込むことになる。また、普通紙やシャープペンシルなどの筆記具も禁止だ。資料を持ち込みたければ、特殊な加工が施してある無塵紙に印刷しなけれなならない。

写真2●iPadを携えて、製造ラインを見回るマネジャーの姿が同社の日常風景となっている。
写真2●iPadを携えて、製造ラインを見回るマネジャーの姿が同社の日常風景となっている。
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 しかし、同社の強みは多品種少量生産。「隣の作業員が別の部品を作っている」(徳増部長)ことは珍しくない。そのため、頻繁にラインを見回って、各部品の組み立て作業に誤りや非効率なところがないか、確認しながらまめに指導していく必要がある。

 指導に使う作業指示書や技術資料は、数も種類も多い。これらの最新版を無塵紙に印刷して持ち込むのは、手間も暇もかかる。それをiPadで置き換えることができれば、現場指導の機動性は大いに増す。

 徳増部長は早速、iPadをクリーンルームに持ち込み、その影響を調べた。その結果、「iPadにはファンもなく、凹凸や穴もほとんどない。入室時にエアーブロウで表面の塵を吹き飛ばせば、そのまま持ち込んでも支障がない」(徳増部長)ことが分かった。

 こうして製造ラインにもiPadが“進出”した。

製造ラインの生の姿を切り取る

 製造ラインにiPadが“進出”したことで、さらなる活用法も次々に生まれている。例えば、動画を使った作業指導である(写真2)。

 製造ラインで部品の組み立てに当たるのは、現地の若い女性従業員たち。彼女たちへの作業指導の際に、iPadで動画を見せると理解度が大きく増すのだという。

 「同じ部品を作っているグループのリーダーに、作業の早い人と、遅い人の動きをiPadで撮影した動画を見せ、なぜ遅くなっているのかを説明した。すると、メンバーへの指導のポイントが一目で分かると、非常に喜ばれた」(徳増部長)。